平成16年秋の台風災害で、被災した兵庫県豊岡市の出石川で大量に保護した国の特別天然記念物・オオサンショウウオを元の場所に段階的に放流している県豊岡土木事務所は、22日からの最終放流でカエルツボカビ菌の陽性反応(感染)がある約40匹のオオサンショウウオの放流を見合わせることを決めた。放流による他生物への影響が懸念されるためで、同事務所は陽性のオオサンショウウオの対応に頭を痛めている。
同事務所は17年夏からの災害復旧工事に伴い、同川でこれまでに約400匹のオオサンショウウオを発見し、同市内のニジマス養殖池で保護してきた。工事完了後はすべてのオオサンショウウオを元の発見場所にもどす計画で、工事状況に応じて今月までに保護したオオサンショウウオの放流を終える予定だった。
ところが、1回目(昨年11月)の事前検査で、両生類が感染、発症すると大量死につながるカエル・ツボカビ菌の陽性反応が初めて確認された。このときは約90匹を放流したが、その後の検査でも一部で陽性反応が確認され、2回目(今年3月)も陰性の約100匹を放流しただけだった。
オオサンショウウオの専門家や病理専門家らの意見を聞き、陽性も含めて残るオオサンショウウオの放流を検討していたが、今月22日からの最終放流では「現段階で陽性のオオサンショウウオが、カエルなどの他の生物にどう影響するかわからない」(県関係者)として、陰性が確認された約170匹は放流するが、残る約40匹の放流は見合わせることにした。
病理専門家は県の依頼でツボカビ症の調査研究を続けているが、オオサンショウウオがツボカビ菌でツボカビ症を発症した事例がなく、オオサンショウウオとツボカビ菌の研究も始まったばかり。このため、「今のところ、はっきりした判断は出せない。あせって決めつけた判断をするのは危険」(病理関係者)という見解。陽性のオオサンショウウオがカエルなどの他生物に対して、安全とも危険ともいえない状況という。
同事務所は「年内には放流できるかどうかの結論を出したい」としているが、ニジマス養殖池の3年の利用契約も今月末で切れるため、約40匹は同市内の新たな管理池に引っ越しする予定で、しばらくは陽性のオオサンショウウオたちの“安住の地”は決まりそうもない。