滋賀県は新年度から、県内最高峰で固有の植物も多い米原市の伊吹山(1,377メートル)の自然再生に乗り出す。山頂部は年間約30万人の観光客が訪れて外来種の侵入が進みつつあり、中腹もススキや低木が繁茂して他の野草を脅かしている。県は「伊吹山環境保全協議会」を設置して自然再生の構想や計画をまとめ、植生調査や外来種の侵入対策、自然保全の財源として観光客から協力金徴収も検討する。
■植生調査、協力金も
県が琵琶湖以外で自然再生に取り組むのは初めて。対象は自然公園法に基づく特別保護地区に指定される山頂付近55ヘクタールを含む102ヘクタール。新年度当初予算案に事業費500万円を計上している。
琵琶湖国定公園の一部でもある伊吹山は、イブキタンポポやイブキハタザオなどの固有種を含む貴重な高山植物が数多く自生する。しかし、岐阜県から山頂に至る伊吹山ドライブウェイの開通(1965年)などで山頂部を訪れる人が増え、靴の裏に付着した種などで外来種のセイヨウタンポポやオオバコ、ヒメジオンが侵入している。
また、かつてはウシの餌や肥料として草が刈られていた中腹も生活の変化で人の手が入らなくなり、繁殖力の強いススキやマユミが勢力を増している。一部の観光客による固有種の踏み荒らしや持ち去りもある。
新年度に発足する協議会は国や県、米原市に加え、NPO(民間非営利団体)や地域住民で構成。2008年度は伊吹山のほぼ全体にあたる約940ヘクタールを植生調査したうえで、自然再生に向けた構想や事業実施計画を策定する。
事業は11年度までの4年間が予定で、09年度以降は除草や靴の裏の洗浄などの外来種対策や監視パトロール、来訪者から協力金を徴収するなどの受益者負担の試行実験も行う。
県自然環境保全課は「伊吹山は滋賀県を代表する山。意欲的に自然再生に取り組んでいきたい」と話している。