2008年01月29日

琵琶湖の侵略的外来生物でシンポ 駆除遅延は致命傷に

 オオクチバスなど琵琶湖にもともといなかった魚類や植物の問題を考えるシンポジウム「侵略的外来生物の脅威と対策」がこのほど、大津市内で開かれた。繁殖力が旺盛な外来生物は、各地で在来の動植物を駆逐するなど深刻な影響を与えている。研究者や行政担当者らが参加し、琵琶湖の外来生物対策を急ぐよう訴えたシンポジウムを詳報する。

 角野康郎・神戸大大学院教授は、この問題についてまだ社会の理解と合意が不十分と指摘する。例えば、侵略的外来生物の飼育や販売を厳しく制限する「外来生物法」に対して、知識人からも「コメもニンジンもキャベツも外来生物。むやみに悪者にするのは間違い」などと反論が出る。
 角野教授は「外来生物がすべて悪ではなく、地域固有の生態系に影響を及ぼす侵略的外来種が問題」と、視点をはっきりさせるよう訴えた。
 侵略的外来生物として琵琶湖で長年問題になっているオオクチバス。中井克樹・県立琵琶湖博物館主任学芸員は、大型で釣り人に人気がある「フロリダバス」と呼ばれるオオクチバスが近年、琵琶湖に入り込んでいることを遺伝子解析で明らかにした。
 フロリダバスの遺伝的特徴を持つ個体が見つかるようになったのは、2000年代に入ってから。中井主任学芸員は「相当の数を入れなければこれほど交雑は起こらない」として、何者が密放流したと見る。桐生透・山梨県水産技術センター特別研究員は「釣りができるから密放流が行われる」として、迅速な防除と釣り禁止区域の設定を訴えた。
 外来魚のブルーギルは1960年に訪米した現在の天皇陛下が持ち帰った15匹が最初の移入とされる。河村功一・三重大准教授は全国と米国のブルーギルの遺伝子を調査し、日本全土の個体はこの15匹に由来する可能性が高いことを明らかにした。河村准教授は「ほんの数匹で大繁殖する。安易な放流がいかに危険か、ギルが立証している」と警告した。
 琵琶湖では近年、外来の植物も大きな問題になっている。佐々木寧・埼玉大教授によると、琵琶湖の要注意外来植物は約30種に上る。「しかし、県や国などがばらばらに対策をとっており、共通の理念がない」と指摘する。
 対策が遅れると繁殖力の強い外来植物は加速度的に広がる。外来生物法で栽培などが禁止される特定外来生物のナガエツルノゲイトウは04年に彦根市で初確認された後、3年間で内湖を埋め尽くすほど繁茂した。
 藤井伸二・人間環境大准教授は昨年、特定外来生物のミズヒマワリを草津市の琵琶湖で発見。ボランティアを募って駆除に乗り出している。経費を計算した藤井准教授は「今なら人件費30万円くらいですべて引き抜けるが、4年後には少なく見積もっても5400万円が必要になる」として、早期駆除に失敗すると膨大なコストと労力が必要になると強調した。

+Yahoo!ニュース-滋賀-京都新聞

Posted by jun at 2008年01月29日 09:18 in ブラックバス問題, 外来生物問題, 各種イベント

mark-aa.jpg