今年は国際カエル年。世界的に減少傾向にあるカエルを絶滅の危機から守ろうと、上野動物園など都内の4動物園・水族園は今月、共同で「国際カエル年活動宣言」を公表し、ノアの箱船にちなんだ“カエル箱船計画”を始動させた。発症すれば致死率90%以上とされるツボカビ症の治療法確立にも取り組み、「成果を全国の動物園に広めたい」としている。(溝上健良)
世界にはカエルを含め約6000種の両生類が確認されている。開発による森林や水辺の減少、近年はツボカビの影響も大きく、多くの種が個体数を減らし、約3分の1の種が絶滅の恐れに直面しているという。
日本国内でも田んぼやため池、それらに隣接する里山など両生類の生息域は狭まっている。昨年初めにはツボカビに感染したカエルも確認。いまのところ大量死は報告されていないが、予断を許さない状況だ。
こうしたことから4園は国際カエル年にあわせ、両生類の保全活動▽両生類の危機状況をイベントなどで啓発▽国内外の関係機関との協力▽両生類の保全に向けた調査・研究−を宣言。
その足掛かりとして、まずは種の絶滅を回避するため、4園で希少種の保存に努める「箱船計画」を本格化させることにした。
箱船計画では万一、野生のカエルが絶滅の危機に瀕(ひん)した場合、園で繁殖させたカエルを自然に放すことも視野に入れており、4園で四十数種のカエルを安定的に飼育・繁殖させる。
ツボカビの集団感染を防ぐため、各園では両生類を園に入れる際、検疫を行っているが、さらに定期的な検診も実施していく。また、種の全滅を避けるため、希少種などは複数の園で分散飼育することも将来の課題になっている。
もっともこれらは最悪の事態を回避するための措置。上野動物園の錦織一臣係長は「野生のカエルが生息可能な水辺の生態系を維持していくことが重要だ」と強調する。
4園は今年一年を通し、両生類に関する特設展示やカエルデー(6月6日)のイベント、自然の中でのカエル観察会などを実施し、カエルの危機状況を広く訴えていく。
一方、ツボカビに感染したカエルに複数の抗真菌剤を投与し、効き目を確かめる治験も進めており、ノウハウは全国の動物園や水族館に伝えていきたいという。
Posted by jun at 2008年01月16日 09:23 in 魚&水棲生物