世界文化遺産の暫定リスト入りした富士山で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)への登録に「富士五湖」(山梨県)を含めるかどうかを巡り、関係者が対立している。推薦する文化庁は「登録に必須」と主張するが、山梨県富士河口湖町の観光業者らは登録に伴う規制を懸念して反発。県が調整をしているが、溝は簡単に埋まりそうもない。
同庁は6月、富士山を世界文化遺産候補としてユネスコの暫定リストに登録。08年以降の登録を目指して山梨、静岡両県が遺産を構成する文化財の洗い出しを進めている。同庁はこの結果を盛り込んだ推薦書をユネスコに提出する。
対立は山梨県が昨年11月、富士五湖を遺産に含める方針を示したことに観光業者らが反発して始まった。「漁業やボートの貸し出しなど湖の利用に影響が出る」というのが反対理由で、町も「説明がなく住民合意もない」と県に抗議し、一度は候補から外された。
しかし文化庁は「自然美あふれる富士五湖を含めないと富士山として不完全」とあくまで含める方針を主張した。県は8月「極端な規制はない」と地元に理解を求め、町は住民説明会を1度開いたが解決していない。
河口湖観光協会の中村徳行会長(81)は「素晴らしい景観を後世に残す必要はある」としながらも「私たちはこの地で生活している。規制されるなら、世界に知られる富士山をあえて世界文化遺産にする必要性はない」と話す。
世界文化遺産を巡っては、熊野古道(三重・和歌山・奈良)の三重県尾鷲市が、古道の形状変更には許可が必要とする景観保護条例を定めたが、反対する複数の所有者が木に落書きするなどの騒ぎが起きた。原爆ドーム(広島)では広島市の要綱改正で高層ビルの開発を制限している。【中村有花】
Posted by jun at 2007年10月17日 12:09 in 内水面行政関連