全国に2カ所が残るだけとされる国の天然記念物の淡水魚・アユモドキの生息地の一つ、亀岡市で、今年生まれのアユモドキが昨年に比べて激減、繁殖率も極めて低かったことが、岩田明久・京都大准教授や地元NPO法人(特定非営利活動法人)などによる調査で、28日までに分かった。外来魚ブラックバスによる捕食も原因の一つに浮上、岩田准教授は「アユモドキの生育環境に異変が生じている可能性がある」と懸念している。
調査は、府のアユモドキ保全対策調査事業の委託を受けた岩田准教授やNPO法人「亀岡人と自然のネットワーク」などが、今月15、23日に実施。桂川水系で唯一とされる産卵水域(同市保津町)で、一定範囲における捕獲数を基に、水域全体の生息数を推定する手法を用いた。
この結果、今年6月の産卵期に生まれたアユモドキの9月時点の残存数は、昨年の同時期の約470−830匹に比べて大きく減少し、少なく見積もっても4分の一以下になる、という。
また、産卵を始める生後2年以上の親魚と、その年生まれの魚(当歳魚)の個体数を比較した「繁殖率」は約0・5を下回り、府の委託調査が始まった2004年以降で、最低を記録。繁殖率が約3・25−8だった昨年とは極端な差が出た。岩田准教授は「当歳魚が産卵を始める再来年以降の繁殖にとって、大打撃」と話す。
原因の一つに挙げられるのが、ブラックバス。調査では、この水域に生息するバスも捕獲し、昨年に比べ「感触では、10倍以上の個体数」(岩田准教授)を確認した。上流域のため池から流入したとみられる。
アユモドキのもう一つの生息地、岡山県ではブラックバスがアユモドキを捕食した事例が報告されている。岩田准教授は「今年の産卵期に大雨が降ったことで、産卵そのものが阻害された恐れもあるが、当歳魚がバスに食べられた可能性もある」とみる。
同ネットワークの上田稔留代表は「今後のアユモドキ保全のためには、上流域のバス駆除も必要」と指摘している。
■アユモドキ コイ目ドジョウ科の日本固有種。現在、岡山県旭川・吉井川水系と亀岡市以外の地点では絶滅状態とされる。1977年に国天然記念物、2002年に府絶滅寸前種となった。04年には「種の保存法」に基づく「国内希少野生動植物種」に指定され、国が生息状況や生態の把握、生息個所の維持改善を盛り込んだ「保護増殖事業計画」を策定した。