琵琶湖からの放流量を調節する瀬田川洗堰(大津市)の「全閉操作」について、国土交通省は28日の淀川水系河川整備基本方針小委員会で、人為的に琵琶湖沿岸の治水リスクを高めることになるとして「原則として行わない」とする基本方針案を示した。近年の少雨化傾向や自然環境を重視し、流域が一体となった異常渇水対策の必要性や水域ごとに守る生物なども盛り込んだ。
素案には、1月に示した基本理念に基づき、「一部の地域の犠牲を前提として、その他の地域の安全が確保されるものではなく、流域全体の安全度の向上を図る必要がある」との方針が盛り込まれ、洪水時の洗堰の放流量をゼロとする現行の淀川水系工事実施基本計画の考え方を否定した。洪水時の洗堰からの放流量については「洗堰設置前と同程度は流下させる」とした。
流れが狭い保津峡(亀岡市)に関して「流域全体の協力のもと、必要最小限の範囲で流下能力を増大させる」と、開削する方向が示された。
琵琶湖で最も水位が上昇した1896(明治29)年の洪水について、計画規模を上回る洪水対策として「実績洪水であることにかんがみ、下流への被害を増大させない範囲でハード、ソフト両面にわたる対策を講ずる」と位置づけた。
この日の委員会で、滋賀県の嘉田由紀子知事は「洗堰の全閉解消が位置づけられたことは歴史的に重要な意味がある。今後、下流を含めたしっかりした条件整備が必要」と述べた。一方、京都府の森田悦三土木建築部長は「洗堰の全閉解消や狭さく部の開削は手法であり、手法を先に見据えた議論の進め方は理解しがたい」と話した。