2007年05月14日

しんそう−深層・真相・心想:解説編 ワカサギ採卵減、波紋広がる/長野

 ◇原因なお不明、釣り客は半減
 全国有数のワカサギの卵の供給地である諏訪湖。毎年40億粒の卵を採り、全国の湖沼に出荷しているが、ここ数年で採卵量が激減。県などで原因を調査しているが、明確なものは分かっていない。そうした中で、地元漁協は禁漁期間を設けるなどの対策を取り始めたため、名物のワカサギ釣りの客足にも影響が出始めている。関係者に広がる波紋と現状を探った。【池乗有衣】

 気温10度と肌寒さが残る朝、諏訪市の上川河口付近に60〜70歳代の諏訪湖漁協(中沢章組合長)の組合員が集まった。諏訪湖から産卵に川をさかのぼるワカサギを捕まえ、採卵作業を行うためだ。設置した仕掛けから引き上げた筒状の網の中には、銀色のワカサギがひとかたまりあった。
 同漁協によると、2月から4月に行う採卵作業でこれまで毎年40億〜50億粒を確保し、半数を諏訪湖へ放流し、残りを全国の湖沼へ出荷していた。諏訪湖のワカサギの卵は生きたままで採卵して受精させることから、ふ化率が良く、評価が高い。
 しかし、採卵量はそれまでの40億粒から04年の26億粒、05年の11億粒と減少した。採卵時期の全面禁漁へ踏み切った06年は40億粒と回復した。しかし、今年も採卵量は約12億粒と再び減った。今年は各地から約16億5000万粒の注文があったが、出荷できなかった。同漁協の藤森直章専務は「諏訪湖に資源保護のため放流する分も確保できておらず、一粒でも惜しい」と話す。
 原因究明のため、05年秋には関係団体による連絡会議が発足。県水産試験場諏訪支場(下諏訪町)で、造成された浅瀬の人工なぎさやワカサギを捕食するブラックバスなどの影響を調査したが、いずれも因果関係がはっきりしなかった。
 さらに、県諏訪地方事務所が昨年9月から天敵のカワウやカワアイサなどの調査を進めているが、諏訪湖周辺は禁猟区のため、捕獲調査はできず、目視による調査にとどまっている。
 減少について県水産試験場諏訪支場の川之辺素一技師は「水鳥の食害の調査が必要と思うが、原因と考えられるものを一つ一つ解明していくしかない」と話す。
 一方、諏訪湖の観光名物となっているワカサギ釣りも禁漁期間が設けられ、漁獲だけでなく観光面での影響も出つつある。明確な採卵量減少の原因がはっきりしないことで2年前から同漁協はワカサギ釣りができる期間を7カ月間から約3カ月間短縮した。このあおりを受けて、釣り船業者でつくる諏訪湖釣舟組合(国枝芳樹組合長)によると、昨年度の釣り客は8000人と04年の半分に落ち込んだ。
 釣り愛好家でつくる「県釣り団体協議会」の真嶋茂会長は「ワカサギ釣りは専門誌が発行されるほど、ブームになりつつある。諏訪湖はたくさん釣れることが魅力だった。明確な理由のない禁漁に憤りを感じる」と、反発する。
 諏訪湖釣舟組合の国枝組合長は「このままでは諏訪湖にはワカサギがいないというイメージが定着し、他の湖に客が流れてしまう」と危機感を募らせる。 5月13日朝刊

+Yahoo!ニュース-長野-毎日新聞

Posted by jun at 2007年05月14日 12:55 in 魚&水棲生物, 自然環境関連, 内水面行政関連

mark-aa.jpg