◇ブラックバスやブルーギルなど 庁内で対立、漁業者から不満も
生態系に影響を及ぼすとして全国で問題になっている外来魚を巡り、県は07年度にも、県内全域で再放流を禁止する方針を決めた。特定外来生物法でも再放流を禁止できるが、県庁内での意見対立もあり、県水産課は罰則規定がある規則に基づき対応することにした。同課は、県内の漁業関係者らを対象に5月に開く意見交換会を経て決定する。【田辺佑介】
県内では90年代以降、鳥取市の多鯰ケ池や湖山池でブラックバスなど外来漁の生息を確認。県は確認前の86年にブラックバスの放流を禁止し、04年にブルーギルも禁止したが、近年はスポーツやレジャーの一環としてバス釣りが人気を集め、釣った後も生きたまま再放流(リリース)する行為が問題視されるようになった。
この事態を受け、同課は、県漁業調整規則による再放流禁止の検討を開始。県内水面漁場管理委員会を先月26日に湯梨浜町内で開き、違反者には懲役6カ月以下罰金10万円以下の罰則規定を適用して対応する方針を決めた。同課は遊漁団体や釣具店などを通して周知した後、意見交換会を5月の連休明けごろに開催。再放流禁止の是非や条件などについて話し合う。
県は「生態系を守るため、バス釣り愛好家にも理解してもらいたい」としている。
外来魚は繁殖力が強く、生態系への影響が全国で問題化。漁業関係者らから再放流の禁止や駆除を求める声が強くなり、特定外来生物法が制定された。県内で具体的な被害状況は把握されていないが、生息区域ではコイやフナが少なくなるなどの報告もある。
外来魚の再放流が問題になる中、県庁内で意見がまとまらず、1年以上も対策がストップしていたことが分かった。水産課と公園自然課の対立が原因で、駆除方法などを話し合う県外来種検討連絡会は05年12月の設置後、一度も開催されていない。当面は水産課が対応することになったが、漁業関係者からは「どっちでもいいから、しっかりした措置を」と不満の声が出ている。
外来魚の再放流禁止は、公園自然課が扱う外来生物法で、懲役3年以下罰金300万円以下を科すことができると規定されたため、水産課は同法施行の05年6月前後から、「生態系被害を防止する公園自然課が主体となって県全体で取り組むべきだ」と主張。これに対し、公園自然課は「被害の実態を把握できておらず、水産被害を被る側の担当課が駆除などしたほうがいい」として、両者の溝は埋まらなかった。
このため、水産課は06年春ごろから対応策の検討を開始。今年3月の会合で、県漁業調整規則を適用して07年度にも県内全域で外来魚の再放流を禁止する方針を決めた。
公園自然課は「06年度に外来生物の実態調査を行っており、その結果を待って対応を考える」としている。
◇農業用ため池など、県内37カ所で生息
代表的な外来魚で知られるブラックバスとブルーギルが、農業用ため池や公園の池など県内10市町村の計37カ所で生息していることが、06年11月〜07年1月に実施した県水産課の調査で分かった。外来魚の侵入時期(判明分)をみると、10年以上前が16カ所、2〜8年前が11カ所で、2年以内も1カ所あった。
調査は、農業用ため池や防火水槽、公園内の池などを管理する799の個人・団体に聞き取り方式で実施。553の管理者から回答があり、外来魚は農業用ため池で29カ所、公園の池で4カ所など計37カ所で生息していたことが判明した。
農業用ため池でみると、外来魚の非生息池(278カ所)でコイが確認できたのは69%(192カ所)だったが、生息池(29カ所)は45%(13カ所)にとどまった。フナは、非生息池の93%(259カ所)で確認できたが、生息池は79%(23カ所)だった。非生息池の計42カ所で確認されたモツゴやタモロコ、ウグイは、生息池では確認できなかった。
回答者からは「バスやギルが放流され、フナやコイがいなくなった」などの声が多く、外来魚の食害で在来種が減少している可能性が示された。
一方、主な生息池である農業用ため池での「釣り人に対する管理者の受け止め方」としては、「迷惑」とする回答が76%を占めた。歓迎する声はゼロで、迷惑な理由として「ごみや釣り糸、ルアーが捨てられる」「立ち入り禁止の場所に入る」などが挙げられた。83%の管理者が駆除の意向を示し、駆除に反対する意見はなかった。 4月6日朝刊