梅雨前の琵琶湖の水位低下でフナの卵や稚魚が干上がるのを防ぐため、川から水を供給する人工水路や堰(せき)がこのほど、滋賀県高島市新旭町針江の湖岸に完成した。国土交通省琵琶湖河川事務所が進めていた取り組みで、瀬田川洗堰の操作による環境への悪影響を緩和するのが狙い。
同事務所が市民団体や地元住民と進めている「針江浜うおじまプロジェクト」の一環。琵琶湖に注ぐ針江浜川に可動式の堰を設け、水路で湖岸のヨシ帯に水を供給し、卵や稚魚が干からびて死滅するのを防ぐ。ふ化して成長した稚魚は、ヨシ帯の池から押し流されるように琵琶湖へと泳ぎ出す仕組みだ。
瀬田川洗堰の操作が見直された1992年以降、琵琶湖の水位は梅雨の出水期に備え、5月中旬から1カ月余りで50センチ下げられる。しかしこの時期はフナなどコイ科魚類の産卵と重なっており、急激な水位低下で卵や稚魚が成育できないことが琵琶湖の魚類減少の一因ではないかといわれてきた。
そのため琵琶湖河川事務所は洗堰の操作方法を見直すとともに、約2500万円かけて堰などの施設整備を進めてきた。同事務所は今後、堰や水路の効果を5年間かけて検証する。
「うおじま」とは、かつて湖岸に大挙して産卵に押し寄せる様子が島のように見えたという魚の群れ。同事務所は「92年の洗堰操作の見直しで失われた自然のリズムの回復を目指したい」としている。