県内で今年の海産稚アユの水揚げが過去最低だったことが分かった。2月に漁が始まったが、県全体の水揚げ量は273キロにとどまり、紀南地方の漁協での水揚げはなかった。産卵期の昨年10月に雨が不足していたことが要因とみられる。天然そ上するアユも少なくなる恐れがあるため、各河川の漁協は気をもんでいる。
県資源管理課によると、県内で稚アユを水揚げしたのは唐尾漁協(広川町)と比井崎漁協(日高町)だけ。漁は3月末までだが、各漁協とも水揚げが望めないため15日までに漁を終了した。ここ10年で最低だった1997年の1トン、次いで少なかった03年の1・3トンを大きく下回り、過去最低となった。
各漁協にとって稚アユ漁は貴重な収入源だが、年によって水揚げ量にばらつきがある。一昨年は8・2トンあったが昨年は2・2トンで不漁だった。
昨年、県内の漁協で最も多い約1トンを水揚げした田辺市の新庄漁協と、次いで多い0・4トンを水揚げした同市の田辺漁協は「今年は海に魚影が全く見えなかった」と話す。
秋に川でふ化した稚アユは、川を流下して海で過ごした後、4月からそ上を始める。稚アユ漁は、そ上を前に沿岸部に集まってきた稚アユを、主に河川放流用として中間育成するために採捕する。その後、天然そ上する時期に合わせて川へ放流する。
県内水面漁業協同組合連合会(和歌山市)は「今年は海産が少ないので人工ふ化したアユの放流量を増やさないといけない。天然そ上に期待したいが、海産の水揚げが少ないので心配だ」と頭を抱える。
アユ釣りシーズンに多くの釣り客を期待する富田川漁協は、4月に海産稚アユを1トン放流する予定だった。しかし、県内の水揚げが少ないため、海産は全国各地から集めた0・4トンの放流にとどまり、残り0・6トンは人工ふ化のアユを放流することになったという。
海産稚アユの採捕量と河川上流の雨量との関係を調べている県水産試験場内水面試験地(紀の川市)によると、産卵期の10月の雨量に比例して、アユの河川回帰率が増減するという。
モデル河川の日高川では、昨年10月中の雨量が114ミリで、豊漁だった04年の4分の1、不漁だった05年の半分にも満たなかったという。同試験地は「10月に雨が少ないと、アユへの栄養、産卵、流下に大きく影響する」と話している。