日本魚類学会(松浦啓一会長)は、日本産魚類約3900種の中で「メクラ」「バカ」など差別的な言葉を含む32種の標準和名を改名した。人権などに配慮したためで、学会外への強制力はないが、水族館、博物館などにも協力を呼び掛けて普及に努めるという。
標準和名は、ラテン語の学名とは別に、日本語で付けたそれぞれの種に固有の学術的名称。図鑑や教育、行政の場で一般的に使われている。
改名されたのは、メクラ▽オシ▽バカ▽テナシ▽アシナシ▽セムシ▽イザリ▽セッパリ▽ミツクチ――の9語を含む標準和名。分類の上では種より上位に位置する「科」や「属」などの名称についても、この9語を含む場合は改称した。
変更後の名称は旧名を連想させないことや、生息場所、形態的な特徴から考案。海底をはうように移動するイザリウオはカエルアンコウ、背中が曲がっていたセッパリハギは体高が高いことからセダカカワハギなどと名付けられた。
徳島県立博物館が全国の博物館・水族館を対象に00年に実施したアンケートでは、回答した354館のうち45%が差別的な生物の和名について「検討の必要性がある」と答え、18%が展示に際し他の名称に言い換えるなどの対処をしていた。
同学会は、こうした実態を受け差別的な言葉を含む和名は「人を精神的に傷つけたり、不快感にする」などとして、和名変更の検討委員会を03年4月に設置した。
検討委の委員長を務めた神奈川県立生命の星・地球博物館の瀬能宏・主任研究員は「改称が、人権への配慮が高まるきっかけになってほしい。今後は他の生物の学会とも連携をしていきたい」と話している。【須田桃子】