2007年01月10日

湖はどこへ:赤潮発生30年後の琵琶湖/4 外来魚/滋賀

 ◇生態系回復へ模索続く−−駆除本格化で減少傾向
 「今年は湖北地方でスジエビが随分捕れているようですね。竹生島のあたりでは、私も実際に見てみましたがすごい数でした」。県の外来魚駆除担当者は言う。

 スジエビはブラックバスやブルーギルなどの外来魚が好んで捕食することから、近年漁獲が減少を続けてきた。しかし、湖北地方を中心に今年は「よく捕れた」という漁師の声が多い。これまでの減少要因が外来魚であること、産卵期に配慮した水位操作や稚魚の放流など生態系回復の施策の影響が比較的表れにくい湖北地方が中心の変化であることなどから、外来魚駆除の影響が大きいとみられている。
 県の外来魚駆除事業は02年ごろから本格化。06年春の外来魚の推定資源量は1700トンで、04年の1900トンから2年続けて100トンずつ減少するなど、効果は上がっているようだ。しかし、動物愛護的な視点などからの批判も根強い。
 外来魚問題に取り組む琵琶湖博物館の中井克樹・主任学芸員は「生態系は、地域に固有の生物の組み合わせで、将来まで残り続けるという歴史の『お墨付き』をもらったもの。それがグローバリゼーションの中で画一化していく流れがあり、待ったをかける必要がある」と、駆除の根拠を説く。琵琶湖は世界で4番目に古いとされる古代湖で、豊かな生物多様性をはぐくんできた。本来琵琶湖にしか生息しない固有種も多く、現代人の娯楽や開発によって生態系を損なうことは簡単に許されることではない。
 もし今、回復の手を打たなければどうなるのだろう。中井学芸員は「最近はブラックバスが減り、ブルーギルが増えている。ブルーギルはブラックバスよりも餌とするものの範囲が広く、在来種の魚が減った現在の琵琶湖でも、さらに増えていく可能性がある」と分析する。
 しかし、厳しい県の財政状況の中、駆除に充てられる予算はピーク時より既に減少している。また、駆除が進むほどに、効率的に駆除するための新たな工夫が求められる。県水産試験場では外来魚の生態解明の実験を行い、駆除に役立つデータを蓄積。県水産課を通じて駆除に取り組む漁師に助言している。同試験場は効果的な漁具の開発や、繁殖抑制の方策にも意欲を見せる。
 「命を奪う以上、正当な理由が必要。この状況を作ったのは人間で、原因者として回復する責任があるのではないか。それぞれの命との距離感をうまくとり、状況に応じて厳しく生殺与奪の判断をしていかねばならない」と中井学芸員は言う。
 外来魚は今、琵琶湖の生態系を圧迫している。しかし、外来魚という“悪者退治”だけでは生態系は回復しない。外来魚駆除を考えることを通じ、我々人間の日々の営みを省みることが必要ではないか。【高橋隆輔】 1月9日朝刊

+Yahoo!ニュース-滋賀-毎日新聞

Posted by jun at 2007年01月10日 22:04 in ブラックバス問題, 自然環境関連

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