2007年01月04日

琵琶湖:赤潮発生30年 命はぐくむ琵琶湖、次世代へ伝えよう(その1)/滋賀

 琵琶湖で淡水赤潮の大発生が確認された77年(5月)から30年がたとうとしている。琵琶湖の環境悪化は赤潮によって一気に表面化、社会問題化。粉せっけんの使用を進める「せっけん運動」が大きな県民運動となり、有リン合成洗剤の使用禁止を含む琵琶湖富栄養化防止条例が制定(79年)された。さらに県琵琶湖研究所(現・県琵琶湖・環境科学研究センター)の開設(82年)などへとつながる。77年は「琵琶湖の環境保全元年」ともいえる。

 その後、一時の富栄養化はストップ。琵琶湖環境の各種指標は表面上は「横ばい」だが、近年は北湖の深層での低酸素化など別の問題が浮かび上がってきた。今年11月には、湖では初めての「全国豊かな海づくり大会」が大津市の琵琶湖岸で開かれ、琵琶湖の現状を改めて考える機会ともなりそうだ。湖(うみ)はどこへ向かおうとしているのか。過去と今を見つめ、未来を展望する。
 ◇せっけん運動 主婦の力、メーカー動かす−−「びわ湖会議」事務局長・宮川琴枝さん(76)=長浜市
 「私にとって、せっけん運動の出発点は環境問題じゃなかったのよね」
 長浜市内の古い集落にある自宅で、宮川さんが話し始めた。琵琶湖に大規模赤潮が発生する3年半ほど前に起きた石油ショック。小売店から合成洗剤が姿を消した。きついにおいに閉口しながら粉せっけんを使ううちに、それまでの皮膚のかゆみが消え、合成洗剤との区別を意識した。さらにニュースで赤潮問題を知り、「得体の知れないもの、とどっきりした」。
 リン入りの合成洗剤が一因と分かり、粉せっけん普及に取り組み始める。地元で参加していた「消費学習研究会」で実験を始めた。ラード、すす、口紅を布に浸み込ませ、合成洗剤と粉せっけんで洗濯。公民館に洗濯機を持ち込み、粉せっけんできれいに洗えることを実証してみせた。
 主婦たちを中心に、運動は全県的に広がり、洗剤メーカーは商品を無リンに切り替えた。「かつてなかったこと。行政も、うまく力を合わせてくれた」と振り返る。一方で、同時期に進んだ琵琶湖総合開発での湖岸堤建設には批判的。「何でヨシ原をつぶして、沖をコンクリで固めるのか」と反対運動もした。
 条例制定後、県内のせっけん使用率は下がり、運動そのものは下火になったようにも見える。「せっけんを使いさえすれば環境にいいというのは違う。せっけんでも合成洗剤でも、使えば使うほど水を汚す。『着たら洗う』じゃなくて、『汚れたら洗う』にしないと」
 ホタルの数などから水の状態を見、集落の協力を得てほ場整備の際に水路を自然に近い石組みに変えてもらうなど、活動の幅を広げてきた。現在、県の呼びかけで識者や市民が集まる「姉川流域環境づくりフォーラム」で活動。せっけん運動を引き継いだ形の「びわ湖会議」事務局長として、台所から生活を変えようという「エコ・キッチン革命」を提唱する。
 今は生ごみの問題に力を入れる。自宅の庭で段ボールに腐葉土や米ぬかを入れ、生ごみをたい肥化。メンバーで手分けしている“実験”の結果は、2月の発表会に持ち寄る予定だ。「ごみは行政の責任という考え方もあるけれど、まず自分で汗をかいてから、行政に役割を求めるのが筋」。自分たちの地域をつくっていくのは自分たちだ、という自負がにじむ。
 水の問題でも気になることはある。「身近な田んぼでも、昔の『田ごし』の水と違って直接、川に排水が出ていく。川や水路の周りを休耕田にすればいいんじゃないかと提案している。行政や研究者を市民の側から『どうなってるの』とつついていくことは、これからますます必要。やってみると面白いしね」。若い世代にも、行動を促している。【森田真潮】
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 ◆琵琶湖環境年表◆
1959年 7月 農薬PCPで魚、シジミ被害
  69年 5月 琵琶湖にカビ臭発生、京都市水道でカビ臭に初の苦情
  72年 6月 琵琶湖総合開発特別措置法公布
  76年 3月 琵琶湖環境権訴訟提訴
  77年 5月 赤潮大発生
     10月 合成洗剤追放全国集会を大津で開催
  78年    「びわ湖を守る粉石けん使用推進県民運動」県連絡会議結成
  79年10月 琵琶湖富栄養化防止条例公布
  82年 4月 県琵琶湖研究所開設
  82年    藻類異常繁殖で水泳場一部閉鎖など
  83年 8月 学習船「うみのこ」就航
      9月 南湖で初のアオコ発生
  84年 8月 第1回世界湖沼環境会議(琵琶湖・大津)開催
  88年10月 「よみがえれ琵琶湖」署名運動、約34万人分を添えて県議会に実効ある家庭排水対策を求める請願を提出、採択
  91年 3月 北湖の湖底で硫黄酸化細菌チオプローカを国内初確認
  94年 8月 北湖で初のアオコ発生
  97年 3月 琵琶湖総合開発事業終了
  00年 3月 琵琶湖総合保全計画「マザーレイク21」策定
  02年10月 琵琶湖レジャー利用適正化条例制定
  03年 3月 第3回世界水フォーラム(琵琶湖・淀川)を開催
  04年 3月 琵琶湖森林づくり条例制定
  06年 1月 「国際湿地再生シンポ」を大津で開催
 「滋賀の環境06」(県琵琶湖環境政策室)から引用。一部、独自に加えた項目もある 1月1日朝刊

+Yahoo!ニュース-滋賀-毎日新聞

Posted by jun at 2007年01月04日 00:26 in 自然環境関連

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