2005年02月18日

The interviewave クレイグ・パワーズ インタビュー パート2

The Interviewave

クレイグ・パワーズ インタビュー パート2
Craig Powers Interview Part2

The Interviewave 「グレイグ・パワーズ インタビュー パート2」をお届けしよう。ここではパワーズがパート1で推奨したバグリーズB1のマル秘テクニック第2弾、そして彼のFLW TOUR秘話をお届けしよう。

basswave:近年日本ではフラットサイドクランクに注目が集まっていますが、CPの話を聞いていると、ラウンドボディーのバグリーズB1で早く実釣したくなりました。ただまだ日本は寒くて、B1が活躍する時期にはほど遠い気がします。
クレッグ・パワーズ(以下CP):そうでもないよ。B1はプリスポーンに最適なんだ。産卵を意識したバスがシャローに上がる時期から晩秋までが出番といっていい。最近ではソフトスティックベイト系のノーシンカーリグがアメリカでは大流行しているが、それもプリスポーン期のテクニックとして悪くない。だが、それはホントにスローな釣りだろ? もう少し速い釣りをするときに選手はスピナーベイトをチョイスするんだが、私に言わせればスピナーベイトのスローリトリーブでも速すぎる。

basswave:つまり、ウッドのシャロークランクは、ノーシンカーワームとスピナーベイトの間を埋めるベイトだと。
CP:そういうことだよ。これに気がついていない人は多い。B1を持っておけば、パターンが1つ増えるくらい武器になる。

basswave:プリスポーン期でもログ周りがウッドクランクのベストスポットなのでしょうか?
CP:それはレイクによって異なる。テネシー州にはテネシー・リバーという有名な河川があって、メインリバーでも釣りができるが、この川を堰き止めたマンメイド・レイクでも多くの大会が開催されている。私は低地のフラットレイクより、流れがあったり、地形を読んでパターンを絞り込んだり、ウッド系のカバーがあるレイクが好きなんだ。実際に、そのタイプのレイクでいい成績を残している。質問は「ログ周りで使用するのがベストか?」だったね。プリスポーン期ならどんなストラクチャーでもOKだと思う。ウイードだろうとレイダウンだろうと、ハードボトムがあって、ストラクチャーが隣接していてバスが身を隠しやすいなら、そこがベストスポット。ただ、私には釣りのスタイルがあるし、ウイードの面をトレースするより、ログ系ストラクチャーを意識して探すようにしている。自信を持ってルアーを送り込めるエリアのほうが釣れる気がするだろ?

basswave:B1の形状からすると、30〜50cmしか潜りませんから、相当シャローなスポットをねらい撃ちする感じですね。
CP:私の場合、50cmの水深があれば、B1の出番だと思っている。潜らせるのは平均して30cmくらいかな。だから、ホントに超シャローなスポットさ。マッディ・ウォーターならバスに気づかれていないだろう。クリア・ウォーターなレイクでは、ボートポジションに気をつけるが、基本的にトレースする水深はこれくらい。あとは、レイクによって多少産卵する水深が違うから、それにアジャストする感じだ。

basswave:ルアーとテクニックについてはたくさん伺いましたので、今度は普段の釣り話というか、思い出のストーリーを語っていただけますか?
CP:こういうタイプの話は、ビールでも飲みながら話すのが最高なんだろうけど……読者のみんなはビールを片手に読んでほしい(笑)。2000年のFLW TOUR第5戦の話なんだが、トーナメントはミシシッピー・リバーで開催された。この大会では、私がいままでに経験したすべての大会の中で最悪な天候とフィールド・コンディションが重なった。これ以前にもミシシッピー・リバーで開催された大会には出場していたから、フィールドがどんなタイプなのかわかっていた。マリーナからスタートして150マイルはただ真っ直ぐな川なんだ。小さなクリークやコーブ、水草の多いエリアや、やや広くなったエリアはあるが、支流と呼べるエリアには少なくとも1時間半から2時間のドライブが必要だった。戦術は2つにひとつ。ロングランをしてプロダクティブなエリアを見つけるか、スタート地点から比較的近いエリアで余裕を持って釣るか。しかしミシシッピー・リバーは、大河なんだよ。ちょっと雨が降ったり、風が吹き抜けると、ラフウォーターになってしまう。2時間のロングランを想定していても、実際にはもっとかかる可能性が高いということでリスクを背負いたくない選手は多い。
 
basswave:で、CPはどっちを選んだワケですか?
CP:ホールド・ユアー・ホーシズ(hold your horses:まぁ焦るな)(笑)。ゆっくり説明するから。私は混戦になるのはイヤだったから、川を下ることにした。とにかく1時間走ってみたが、ポテンシャルの高いエリアはなかった。2時間走って、やっとリバーと繋がっているレイク群を発見した。その中でも規模、水深、水質がよかったのは、たったのひとつ。ただし問題は、プラクティスが進むにつれて水位が徐々に浅くなっていったことだった。このままさらに浅くなれば、レイクは野池程度の大きさになって、バスが真ん中に集中する感じだった。そこで、私は決めたんだ。ギャンブルして、本戦ではここに戻ってこうようと。

basswave:そうしたら、このチョイスが最悪な方向に転んだワケですね。
CP:天候的にね。さっき言ったように、ミシシッピー・リバーは南北に長いから、風が抜けると波でラフウォーターになる。でも仕方がない。プラクティスでグッドフィッシュを見つけていたんだ。そこに戻るしかない。そのレイクは風裏だから、到着さえすれば、クオリティーフィッシュをキャッチする自信があった。案の定、風速20マイル(約毎秒9m)を越える風が出て、エリアには2時間半もかかった。これでも私は早く到着した方さ。帰りは向かい風だから、3時間半はかかるとみて、釣りは2時間くらいしかできなかった。

basswave:往復で6時間かかってまいます。それだけ価値あるエリアだったんですね。
CP:実際には2時間もいらない。30分で充分だと思っていた。すると、6キャスト5 フィッシュでリミットを達成。10キャストで入れ替えもして、コ・アングラーに「もうちょっと釣りたいか?」と聞いて釣らせたんだ。

basswave:余裕ですね〜。このエリアに他に誰もいなかったんですか?
CP:リック(クラン)がいた。もう1艇いたが、誰だかわからない。この周辺にはたくさん小さなレイクがあるから、みんなは散っていたんだろう。初日はたったひとつのレイダウンでリミットを揃えたんだ。ルアーを入れると、腹を空かせたピラニアのように次から次へと沸いてくるんだ。
 それで、2日めが問題だった。この日はさらに減水してて、風も強くて、エリアに向かう途中で沈没しそうなボートを何艇も見かけた。レイクの入り口が見えて「よし到着だ!」と思ってターンしようとしたら、巨大な波が真横から襲ってきたんだ! 一瞬何が起こったのか、さっぱりわからなかった。突然殴られたように、頭に衝撃があったんだ、波だぜ!? まぁ、なんとか無事だったんだけど、偏光グラスの片方のレンズが飛んでいったし、エレキも持ち上がらないくらい曲がるし、魚探も吹っ飛ばされた。コ・アングラーは1本だけ残してロッドを全部さらわれた。私も沈没するかと思ったよ。
 
basswave:五大湖での沈没事件を聞いたことがありますが、CPのケースも酷いですね。
CP:ホントに酷かったよ(笑)。五大湖の場合は、サーフィンの波のように、ガバッと襲ってくることは少ない。巨大な波がうねっているだけなんだが、ひとつの波が3階建ての家くらいの高さなんだ。ミシシッピー・リバーの波は、鋭くて連続しているタイプで、流れもあるから、さらに強烈なんだよ。だから3時間もかかった。


basswave:帰りの時間を考えると、釣りをする時間がありません。
CP:ないんだよ、ホントに(笑)。でも、ひとつのレイダウンで(リミットを)獲れるとわかっていたから、10キャストあればいいかなと考えていた。でも、釣る前にやることがあったんだ。このエリアに来るには、後ろのストレージをカラにして、ガソリンを満タンにしたタンクを2つ積んで、到着したらスグにメインタンクに入れないといけないんだ。これに数10分がかかった。釣りをはじめようとしたら、初日より減水してて、初日のレイダウンは半分干上がってたんだ。それで、手前の深いほうのレイダウンをねらったら、案の定、バスは減水してたから、手前のログについてた。でもリミットメイクには19分しかかからなかった。

basswave:よくそんな細かい時間を覚えていますね。
CP:コ・アングラーに状況を説明しておいたから、2人で「何分でリミット揃うかな〜」と時間を計っていたんだ。2人で「このレイクは天国だな!」と盛り上がったよ。絶対に決勝に進む自信があったから、浅いほうのログを引っ張って、手前のログと重ねたんだ。ここにしかバスがつけないように。

basswave:なぜそのレイクはそんなに釣れるんですか?
CP:それは、マリーナから遠くてアングラーが普段から来ないからだろう。あそこのバスは、ルアーを見たことがないと思う。そんなレイクがいっぱいあるエリアだったんだ。

basswave:それで、帰りは何時間かかったんですか?
CP:5時間半だよ(苦笑)。

basswave:よくウエイインに間に合いましたね!
CP:マリーナに到着して、帰着申告したら、残りは1分だった。私はラッキーな方だったよ。波と風で何艇も帰着時間に間に合わなかった。何艇かが沈没したんだけど、予選をトップで抜けたランディー・ブロウキャットのボートも沈没して、リックに乗せてもらって帰ってきた。リックは初日にも誰かを助けてる。

basswave:CPはこの大会で勝てたんですか?
CP:いや、決勝には残れたが、6位で終わった。自分では満足した結果だったよ。

basswave:大変面白い話を聞かせていただいて、ありがとうございました。
CP:またゆっくりと話をしよう。ドウモアリガト。

 千葉県幕張メッセで開催された国際フィッシングショーが終了し、翌日帰国したクレイグ・パワーズ。テネシー州の自宅からボートを牽引し、次大会が開催されるFLW TOUR第2戦フロリダ州レイク・トホに移動した。1週間あまりのプラクティスの末、本戦を迎えたが、51位で大会を終えた。現在の暫定年間ランキングは35位。今後の奮闘でさらに上位に食い込むことも可能だろう。またインタビューにもあったように、彼が得意とするタイプのレイクはまだ出てきていない。とうことは、これからの4戦が彼の実力を発揮できる場所といえる。basswaveでは彼の活躍を追いかけていきたい。
 実は今回のインタビューは割愛したパートがいくつかある。それらはまた別の機会に掲載する予定だ。 

Posted by DODGE at 2005年02月18日 10:02 in Interviewave

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