2005年02月17日

The interviewave クレイグ・パワーズ インタビュー パート1

The interviewave

クレイグ・パワーズ インタビュー パート1
Craig Powers Interview Part1

アメリカン・バスフィッシング・シーンは、今や2大団体を中心に回っている。BASSのCITGOバスマスターツアー、そしてFLW OutdoorsのWal-Mart FLW TOURでの活躍は、トーナメントの世界を志すバスアングラーにとって究極の目標だといえるだろう。BASSは老舗団体として多くの有名プロを輩出してきた一方、FLWは歴史は浅いものの高額賞金を誇り、クラーク・ウェンドラントやジョン・サッピントン、日本からは深江真一さんをはじめとした多くのトッププロが凌ぎを削っている。先日千葉県幕張で開催された国際フィッシングショー参加のために初来日を果たしたクレイグ・パワーズ(Craig Powers)も、FLW TOURの創世期から出場している実力者のひとりだ。
 フリッピングがウイニングメソッドになる確率の高い昨今において、彼はクランクベイトやスピナーベイトを駆使するタイプのアングラーだ。今回、彼にはパワーズ流クランキングを聞いてみた。

basswave:basswave読者にはクレイグ・パワーズさんをよく知らない人がいると思いますので、少しだけ自己紹介をお願いします。
クレッグ・パワーズ(以下CP):OK。日本のみんな、クレッグ・パワーズだ。友だちにはCPと呼ばれている。キミもCPと呼んでくれてかまわないよ。

basswave:ではCPと呼ばせていただきます(笑)。CPは昨シーズンのFLW TOUR第3戦で2位に入賞しました。この大会では深江真一さんが6位に入賞したので、CPの活躍を覚えている日本人もいると思います。
CP:ありがとう。大会はアーカンソー州ビーバー・レイクで開催されたんだ。プラクティスからパターンが見えていたし、勝てる気もしていた。いい大会だったよ。

basswave:現在はFLW TOURを中心に活動されていますね。
CP:FLWには1999 年から本格参戦しているから、今年で7年めということになる。BASSはスポット的に4回ほど出場したことがあるが、私のキャリアはFLWというか、オペレーション・バスで確立された。オペレーション・バスは知ってるか?

basswave:はい、わかります。FLW Outdoorsの前身で、レッドマン・トレイルを開催していた組織ですね。
CP:そのとおり。私のキャリアはレッドマンからはじまったんだ(1995年から参戦)。私は自営業をしているから、全国レベルのサーキットには、経済的、地理的、そして家族の問題でなかなか踏み出せなかった。しかしレッドマンは週末に開催される大会だった。「ここから徐々に上のレベルに上がっていければ……」と考え、マイペースでやってきたんだ。その後はレッドマンにエントリーしながらエバースタートにも出場して、最終的にFLW TOURに辿り着いたんだよ。

basswave:ということは、生粋のオペレーション・バス/FLW系アングラーということですね。
CP:現在BASSを中心にサーキットしている選手の中にも、レッドマンからスタートした者が多数いるよ。たまにスポンサー枠か、なんだが知らないが突然FLW TOURに入ってくる選手がいるが、そのケースで成功した者はホントに少ない。下のレベルからトーナメントの戦術を身につけてこないと、勝てない世界だよ。シン・フカエは日本での活躍が認められて、FLW TOURに抜擢されたが、アメリカでのトーナメント経験はあまりなかったというじゃないか。彼は突然トップレベルのサーキットに挑戦して成功した数少ない選手のひとりだ。私はアングラーとして彼の功績をリスペクトしている。

basswave:先ほど、「家族の問題」とおっしゃいましたが、FLW TOURは1ヶ月に1試合ペースですので、試合と試合の合間に自宅に帰っているのでしょうか。
CP:すべての選手がそうしているかどうか知らないが、私は1試合ごとにテネシー州の自宅に帰っているよ。BASSとFLWに参戦すると、家族と会える機会がグンと少なくなる。特に現在のバスマスターのスケジュールだと、数ヶ月は帰宅できないだろう。両方のトレイルに出場して、ワンシーズンに両方で好成績を残せた者は少ない。だから私はFLWのみに集中しているんだ。


basswave:2006年度からバスマスターツアーの日程は大きく変わります。それについて、魅力を感じませんか?
CP:感じないといえばウソになるが、FLWも試合数を増やすことになるだろう。そうなるのは時間の問題だ。それに、BASSの判断は間違いではない。現在のスケジュールは1〜3月だろ? アーリー・スプリングのトーナメントばかりだ。だから、アングラーオブザイヤーと呼んではいるものの、実際には“アングラーオブザスプリング”なんだよ。FLWは1〜6月で6大会をこなしているけど、これも本来の“年間”チャンピオンではない。四季を通してサーキットしてこそ、本当の意味での年間チャンピオンは決定すると思う。

basswave:1月に開催されたFLW TOUR第1戦のレイク・オキチョビー大会は60位でフィニッシュされました。CPといえばクラインキングのイメージがあります。オキチョビーでもクランキングはできなくもないと思いますが、フリッピングがメインになります。
CP:そのとおりだよ。クランキングのパターンもあることはある。例年であれば、クランクベイトでリミットを揃えて、フリッピングでビッグフィッシュを釣る選手も多い。だが、今年はモンキーボックスと呼ばれるエリアでしか釣れなかった。クランクやスピナーベイトをキャストしてみたが、結局、80%はフリッピングで釣ることになった。スポーニングシーズンであっても、私はキャスティングで釣ることが多い。サイトフィッシングは、私のスタイルではないんだ。特に今年のオキチョビー戦はリズムが合わなかった。

basswave:CPはどんな時期、どんな場所でもクランクベイトを投げますか?
CP:そうだな、クランクベイトを投げないトーナメントはないといっていい。逆に、クランクベイトがセットされたロッドを2本だけデッキに用意して釣ったこともある。

basswave:それは、クランキングがCPのスタイルであって、自信があるからですか?
CP:大げさにいえばスタイルだし、もちろん自信があるからだよ。クランクベイトはトーナメントフィッシングにおいて、もっとも確実にバスが釣れるルアーだと思っているし、“リミットメイク”といった戦術を考えた場合、ワームでスローに釣るより短い時間で目標を達成できる。

basswave:今回はバグリーのプロモーションとして来日されました(日本のディストリビューター、オフトの招聘)。では、クランキング・マスターにお尋ねします。CPのフェイバリット・バグリー・ベイトはどれですか?
CP:「すべてのバグリーベイトが最高である」と最初に言っておこう(笑)。で、私のスタイルでもっとも出番が多いは、ズバリB1だ(バルサB・BB1R)。クランクベイトとして大きすぎず、小さすぎずの最適なサイズで、アクションも他のバルサルアーに比べてバスを誘発しやすい。

basswave:このルアーに関して、CPが特にオススメするシチュエーションやテクニックはありますか?
CP:シークレットなテクニックがあるが、今回はせっかくインタビューしてくれたから、明かすことにしよう(笑)。普段スピナーベイトをキャストするシチュエーション、距離でこのB1を使用するんだ。

basswave:それは、バスマスター・クラシックで大森貴洋さんが最終日にやったテクニックのような感じですか?
CP:そう、まさにあんな感じだ。だが、私の場合、普通、スピナーベイトをキャストする場面でこのB1を使用する。リトリーブを止めれば浮いてくるし、小さく細かいアクションも加えられる。スローリトリーブにしても、スピナーベイトよりスローにできる。要するに、ストライクゾーンに長くルアーを置いておけるんだよ。

basswave:では、スピナーベイトはいつ使うのですか?
CP:B1ではどうしても根ガカリしてしまうようなヘビーカバーや複雑なログをトレースするときには、スピナーベイトをチョイスする。とにかく、シャローカバーを発見したら、クランクがセットされたロッドに手が伸びるんだ(笑)。そうだな、レイダウンが横たわっているとしよう。一般的なレイダウンの攻略法は、ジグをフォールさせたり、スピナーベイトを枝に当てながらトレースする。こういう場所のバスはワームやスピナーベイトを見たことはあっても、クランクベイトを見ることは少ない。そういう物珍しさでもバスにアピールできる。

basswave:先ほど「距離」とおっしゃっていましたが、B1を使用する場合、ボートとストラクチャーの距離はどれくらいに保っていますか?
CP:ピッチングの距離だよ。手首のスナップを使ってアンダーキャストでスポットに入れる。だから、5、6mは離れているが、オーバーハンドキャストするほど離れてはいない。遠くても10mくらいだろう。

basswave:アメリカ人アングラーは全体的に長めのロッドを使用することが多いように感じますが、B1を使用する際、ロッドレングスにも気を使いますか?
CP:いい質問だ。私は5.6ftのショートロッドを使っているよ。最近はショートロッドを使用するアングラーがめっきり減った。だが、ショートロッドのポテンシャルは高い。手返しのよさを考えるなら、バランスの取れたロッドチョイスも重要なポイントだと思う。

basswave:ちなみに、何Lbラインを使用されてますか?
CP:17Lbのモノフィラメントだよ。ん? 「太すぎる!」って顔をしているな(笑)。だけど、考えてみてくれよ。シャローのヘビーカバーをクランクベイトで釣っているだ。潜られてしまっても確実にランディングするには、これくらいの太さは必要なんだ。「ラインが太いと潜らない」と心配するアングラーがいるかもしれないが、ドント・ウォーリー。もともとB1は30cm程度しか潜らない。ラインの太さがルアーに影響する水深じゃないんだ。ロッドティップの高さで調節すれば、潜水能力を細かくコントロールできる。

basswave:カラーは重要ですか?
CP:一年中使用できるカラー、いや「これだけを持っておけば、どんな状況にも対応できる」というカラーが2つある。シャッドカラー(カラー#04)とチャーリュース・ブラック(カラー#09)だ。実は、私はバグリー・コレクターで、オールドバグリーを個人的にたくさん収集している。現行のアイテムやカラーもたくさん持っている。もちろんトーナメントへはいろんなカラーを持っていくよ。バグリールアーを熟知するアングラーのひとりだと思っている。でも、90%はシャッドカラーとチャーリュース・ブラックでまかなっている。たまに気分転換で違ったカラーを使うが、逆にいえば、この2つが最強なんだよ。新色を毎年リリースするメーカーのルアーは、私には向かない。確かにバスは頭がいい。ルアーや色を見慣れると釣れなくなると聞く。だが、バスはそこまでグルメじゃないよ(笑)。信頼できるカラーってのは、いつの時代でも変わらないだろ?

basswave:CPのバスフィッシング哲学は、意外とシンプルなんですね。
CP:深く考えすぎるアングラーが多すぎるよ。たとえば、今夜、レストランで500gのステーキを食べたとする。腹がいっぱいになって家に帰って、テレビをつけてソファーに座る。もし目の前に封の開いたポテトチップスがおいてあったら、1、2枚は口に入れてみるだろ? 女の子だって同じさ。デザートは別腹っていうじゃないか。バグリーズのB1はバスのスナックなんだよ。目の前をトレースされると、ついバイトしてしまうんだ。釣ったバスの口からベイトフィッシュの尻尾が飛び出してる状態を見たことはあるか? バスは腹が減っているからルアーにもバイトするワケじゃない。バイトせずにはいられなかったんだ。それがB1だと思う。「ちょっとクチを使わせる」ルアーをアプローチしてやることが、私のバス哲学さ。

+「Interviewave」 クレイグ・パワーズ インタビュー パート2へ続く……

Posted by DODGE at 2005年02月17日 15:21 in Interviewave

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