2006年09月01日

マングローブ伐採賛否 漫湖の自然どうなるの?

 水鳥の生息地として重要な湿地と湿地に生息する動植物の保護を目的としたラムサール条約に1999年に登録された那覇市漫湖のマングローブを、県が7月24日から8月3日にかけて約500メートルの区間で伐採、除去した。川面が見えず、ごみがたまって悪臭を放つとして地域住民から出されたマングローブ撤去の陳情を受けたもの。地域住民など伐採を歓迎する声がある一方で、伐採に対する批判も出ている。 漫湖全体の自然のあり方に対しては、環境省が主体となり、県や各種団体で組織する「漫湖地区自然再生協議会」が設置されることになっているが立ち上げが遅れている。

 県南部土木事務所によると、マングローブの伐採、除去は爬龍橋から真玉橋までの北岸約500メートルの区間で、30メートルを約1.5メートルの高さで伐採し、次の10メートルは根元から取り除く作業を繰り返した。マングローブは川の流れを遅くするため、土砂の堆積(たいせき)による陸化の原因ともされていた。
 漫湖は、国の鳥獣保護区に指定されているため、マングローブ伐採には環境省の許可が必要だが、伐採が20%以下であれば、事後報告でもかまわない。県が漫湖のマングローブを除去するのは饒波川しゅんせつ工事以来2回目で、北岸は初。県は過去5回、漫湖でのマングローブ植栽を許可してきたが1998年4月以降は許可していない。
 国際マングローブ生態系協会事務局長の馬場繁幸琉球大学教授は「マングローブ伐採は、行政の無策によるもの」と批判。「都市部にマングローブが存在するのは貴重で世界に誇るべきもの。陸化は、土砂が大量に上流から流れてくることが問題。ごみや砂をマングローブが抱えるのは、海への流出を防いでいるという意味で良いことだ」と指摘している。
 県河川課の根路銘恵一課長は「あっちを聞けば、こっちが立たない」と対応に苦慮。「もともとはマングローブはほとんどなかった場所。あまりにも繁茂しすぎて河川を脅かしているし、環境は劣悪だ」と伐採の理由を説明している。
 沖縄野鳥の会の山城正邦事務局長は「野鳥の数の減少と環境の変化を感じている」と述べ、「早急な協議会の取り組みと漫湖のきちんとした管理が必要」と訴えている。
(琉球新報)

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Posted by jun at 2006年09月01日 20:13 in 自然環境関連

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