2006年08月05日

大阪湾、酸素不足 原因不明、環境・漁業へ影響心配

 大阪湾の海底付近の酸素濃度を示す溶存酸素量(DO)が、湾中央部を中心に昨年に比べ大きく減少していることが4日、国土交通省や大阪府など沿岸自治体による水質一斉調査(速報値)で分かった。中央部では生物が生きられない状態になっている。大阪湾は近年、環境改善により漁獲高が増えるなど取り組みが効果を上げてきているだけに、同省近畿地方整備局は「原因は分からない」と首をひねるが、環境や漁業への影響を懸念する声も出ている。

 溶存酸素量の一斉調査は平成16年に始まり、毎年8月2日に実施。観測地点は年々増え、今年は大阪湾に注ぎ込む河川や琵琶湖を含む478地点で行った。これまでに整備局に集まった44地点のデータを速報値として公表した。
 りんくうタウン周辺から大阪港、神戸市付近にかけての一帯のうち、昨年も調べた35地点を昨年のデータと比較したところ、生物の生息が困難になるとされる1リットルあたり3ミリグラム未満の地点が湾中央部の11地点で昨年の2倍の10カ所に増えた。沿岸部の24地点では、昨年と同じ12カ所だった。
 酸素量が減った理由について、整備局は「今年は台風の上陸がなく、海水が入れ替わらなかったせいかもしれない」と推測。府環境保全課は「原因は不明だが、埋め立てのため海底の土を掘ると一般的に酸素不足になるため、その影響もあるかもしれない」と話す。
 今回の一斉調査にアドバイスを行った大阪市立大学大学院の重松孝昌助教授(環境水域工学)は「湾中央部は海水が入れ替わりやすい環境にあるため、本来、酸素不足は起こりにくい。もともと海底部分は表層に比べて酸素は行き渡りにくいが、今年は雨が多かったので海水の表層部分の淡水の量が増え、海底部分との水の重さの差が大きくなったためではないか。台風がなかったことも一因だろう」と指摘。
 その上で「海底には漁業者が言うヒラメやカレイといった『そこもの』がおり、漁業への影響は少なくない。深刻な問題だ」と話している。
     ◇
【用語解説】溶存酸素量(DO)
 水中に溶けている酸素量を表し、水質汚濁を測る代表的な指標。数値が低いほど、水質が悪いことを意味する。水温、気圧、塩分などに左右され、水温上昇につれ小さくなる。一般に魚介類が生存するには、DO値1リットル当たり3ミリグラム以上は必要で、微生物が活発に活動するには同2ミリグラム以上が必要。それ以下だと悪臭物質が発生する。
(産経新聞)

+Yahoo!ニュース-社会-産経新聞

Posted by DODGE at 2006年08月05日 05:06 in 魚&水棲生物, 自然環境関連

mark-aa.jpg