2006年05月27日

サクラマス:3倍増、川に倒木設置し環境整備 北大教授らが生息実験結果/北海道

 ◇北大・中村教授ら\n 川に倒木を置くことでサクラマスが生息するのに適したさまざまな環境をつくりだし、生息数を3倍以上増やすことに、北海道大の中村太士教授(生態系管理学)や永山滋也大学院生らが成功した。河川の自然再生の有効な手法として注目されそうだ。9月末に東京大で予定されている応用生態工学会で報告する。

 調査は、道東を流れる標津川の8カ所で実施した。04年6月、4カ所に長さ約10メートルの倒木と根株を置き、残りの4カ所は現状を維持した。倒木設置から1年後にサクラマスの生息数を比較した。
 倒木のある地区では、その年誕生した稚魚や海から戻ってきた大型の親魚まで幅広い年齢層の134匹が生息したのに対し、倒木のない地区では1歳未満を中心とした稚魚37匹にとどまった。
 両地区の水深はともに平均して約70センチで差はなかったが、流速が多様になり、倒木のある地区では緩やかな流れを好む親魚や稚魚、速い流れの中で活発に餌を食べる1〜2歳魚、それぞれの魚齢に応じた生息環境を倒木が形成したとみられる。このほか、餌となるカゲロウなど底生動物の生息数も急増した。以前はどちらも1平方メートル当たり約100個体だったが、1カ月後に倒木区で約6倍、1年後に約9倍になった。
 中村教授は「川にはもともと倒木が多く点在するが、河川の改修や整備を進める中で取り除かれてきた。昔の川の姿を手本にしながら手を加えることが、多様な生息環境を作りだすのに有効だ」と話している。【田中泰義】

5月26日朝刊
(毎日新聞)

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Posted by jun at 2006年05月27日 09:24 in 自然環境関連

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