◇漁獲量低迷、大きさ規制や放流強化−−80年代以降200トン前後に
漁獲量が低迷している琵琶湖固有種のセタシジミについて、県は資源回復計画を作成した。1950年代の5000トン台から60年代の急減を経て、80年代後半以降は200トン前後に落ち込んでいる漁獲量を、2011年度までの6年間で1000トンに増やすことを目標に設定。小さな貝を取らないようにする制限を強めると同時に、放流を強化するとしている。【森田真潮】
セタシジミは主に水深10メートルくらいまでの砂地に生息する。寿命7〜8年とされるが、マシジミと異なり雌雄が別で、生息密度が低いと繁殖が難しくなる。現在は漁業調整規則で15ミリ未満のものの漁獲を禁止。水の流れを妨げて酸素不足や泥の堆積(たいせき)を招く水草の除去と合わせて、年間約30億個の仔(し)貝を放流している。
しかし、県の生息密度調査では、産卵能力が高くなる4歳以上(20ミリ以上)の大きさの貝の割合が減少。漁獲制限が「15ミリ以上」のままでは、放流量を年100億個に増やしても漁獲増は見込めないが、「18ミリ以上」や「22ミリ以上」に規制を強めると、取り組み6年目以降に本格的な効果が期待できるという。
計画では、(1)漁獲制限を「18ミリ以上」に強化し、「22ミリ以上」への段階的引き上げを検討する(2)06年の放流量を35億個に増やし、今後も増大に努める(3)放流水域の耕うんや水草除去を行う――とした他、単価の維持向上のため出荷の一元化の検討にも言及している。5〜7月の貝びき網の禁漁期が明ける今年8月1日からの実施に向け、6月中をめどに漁業者による実施計画の策定を目指すという。県水産課は「漁獲が低迷している中での規制強化になるが、資源を有効利用するために我慢が必要だと理解を求めたい」としている。
4月6日朝刊
(毎日新聞)