強い毒を持つ特定外来生物「ヒアリ」が国内で初めて発見されてから5月で1年。静岡県内でも昨年8月に清水港で、11月に浜松市浜北区で相次いで確認された。今年に入り、国内で生きたヒアリは見つかっていないが、専門家は「暖かくなってくれば活動が活発になり、海外の生息地から間違いなく入ってくる」と警鐘を鳴らす。静岡県は継続的な水際対策や迅速な初期対応に力を入れる。
県内外で昨年発見されたヒアリの多くは、中国の港湾から輸入された貨物に紛れて侵入したとみられる。外来生物対策に詳しいふじのくに地球環境史ミュージアムの岸本年郎教授(昆虫分類学)は、各地での確認状況などを踏まえ「国内では繁殖や世代を超えた定着に至っていない」としながらも、「ヒアリ定着国からのコンテナを扱う港湾、空港などは、監視や駆除を続けていく必要がある」と指摘する。
仮にヒアリの定着を許せば、経済的・社会的な損失は甚大だ。岸本教授によると、台湾は過去十数年間にわたり年間約1億円の対策費を投じているが、分散しながら繁殖を繰り返すヒアリを根絶できていない。農作業中や都市部の公園で市民がヒアリに刺されるケースもあるという。
県は昨年度、ヒアリが発見された清水港で営巣を防ぐ舗装補修工事を実施。同港や御前崎港、静岡空港、浜松内陸コンテナ基地では継続的な監視を展開する。4月には関係部局の連絡会議を開き、防除対策や危機管理体制などを確認した。担当者は「民間の輸入事業者も含め、関係機関が速やかに情報共有して対処することが重要」と強調する。
一方、大阪府の民家で9日、中国の輸入品からヒアリの死骸が見つかったほか、長野県の住宅で4月、ヒアリの近縁で有毒の「アカカミアリ」が確認されるなど、今年に入り一般家庭から発見されるケースも出ている。岸本教授は「輸入物資に付着して侵入するリスクは捨てきれない」とした上で、「見つけても素手で触らず、殺虫剤か熱湯で駆除し、関係機関に連絡してほしい」と話した。
<メモ>ヒアリとアカカミアリ ヒアリは南米原産で体長2.5〜6ミリ。ドーム状のアリ塚を作り、主に集団で行動する。極めて攻撃的で、腹部先端の毒針で刺されると激痛などの症状を引き起こし、死亡例も報告される。国内では12都府県で発見されている。アカカミアリは米国南部から中米原産で体長3〜5ミリ。巣は土の中に形成する。毒針で刺されると激しく痛んで腫れるが、ヒアリと比べると毒性が弱いとされる。
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Posted by jun at 2018年05月23日 09:53 in 外来生物問題