生活環境、農作物や生態系などに害を及ぼすとして、国が特定外来生物に指定するアライグマが県内で増えている。多くはペットの遺棄から野生化したとみられ、南アルプス市は昨年から、山梨市も今月から、NPO法人の協力で対策に乗り出した。南アルプス市では昨年の調査で、神社仏閣の文化財などに多数の痕跡が見つかった。関係者は「被害拡大の前の捕獲が重要だ」と訴える。
◆市内全域に定着
南アルプス市西南湖にある国の重要文化財「安藤家住宅」。市文化財課が建物の柱や外壁に動物の爪痕を見つけ、昨年6月に被害対策などに取り組む同市曲輪田のNPO法人「甲斐けもの社中」に、対応を相談した。
市は、裏庭に餌を入れた捕獲用ケージ1台と複数の赤外線カメラを設置した。同NPOは並行して、市内の神社、仏閣の大部分となる131棟を調査。全体の約4割にあたる56棟で侵入したアライグマによるとみられる爪痕や足跡が見つかった。
専門員の岩下ひかりさんは「分布状況から市内全域に定着していると思う」と説明する。同8月、安藤家住宅のカメラは一度に4頭をとらえた。10月、11月には1頭ずつ捕獲した。
アライグマは生後1年で子供が産めるほど繁殖力が強く、多くは建物の天井や床下をすみかとする。
春からの繁殖前に捕獲を急ぐため、11日に地元住民を安藤家住宅に集め、現状の報告で協力を呼びかける。岩下さんは「痕跡を見つけたら通報を。捕獲につなげる態勢を作りたい」と話す。
◆かみ合わぬ対策
山梨市でも今月から、甲斐けもの社中との捕獲調査事業がスタートした。生息が見込まれる笛吹川沿いに6台の捕獲ケージを設置したほか、周辺の約20の神社、仏閣で建物への爪痕など痕跡を調べる。
理事長の山本圭介さんは「まず県内全域の生息状況を把握し、捕獲対策を講じて削減につなげたい。県の役割も問われている」と強調する。
県は平成28年4月、「県アライグマ防除実施計画」を策定。生息分布を「県内全域に拡大」とし、増加と分布拡大を阻止しながら、最終的には「野外からの完全排除」を掲げた。
ただ、県みどり自然課は「防除の主体は市町村。県は防除技術を講習などで啓発している」と対応を市町村に求める。
これに対し、山本さんは「市町村だけでは無理」と強調。「県は痕跡の実態調査を行い、市町村と連携して防除モデル事業を展開するなど、対策を全県へ広げてほしい。飼い主も最後までペットとして飼ってほしい」と求めている。
Posted by jun at 2018年03月06日 09:10 in 外来生物問題