奄美の外来種対策について考える環境省主催の公開シンポジウムが19日、鹿児島県奄美大島龍郷町のりゅうゆう館であった。奄美大島に放たれた特定外来生物マングース対策について専門家の講演やパネルディスカッションがあり、防除が進んで生態系に回復がみられるとして「世界的な先進事例」と成果を評価。同省が目標に掲げる2022年の根絶に向けた課題を話し合った。
マングースは1979年、ハブ対策などで奄美市名瀬に30匹が放たれ、以後島内全市町村に分布域を拡大。在来生物を捕食して生態系への影響が深刻化した。外来生物法が施行された2005年、同省は捕獲を担うマングースバスターズを配置して防除事業を開始した。
基調講演した五箇公一氏(国立環境研究所)は、全国で農作物被害や生態系への影響が問題となっている特定外来生物アライグマなどの事例を挙げ、外来種問題について「生物多様性を脅かし、人間社会の存続に関わる」と警鐘を鳴らした。
捕獲などの物理的防除に代わる手法として、外来アリなどに対する薬剤を使った化学的防除の取り組みを紹介。奄美大島のマングースについても、根絶に向けた「最後の一手」として化学的防除の有効性を強調した。
常田守氏(奄美自然環境研究会)は希少種を襲う野生化した猫(ノネコ)の問題などを取り上げ、繰り返される外来種問題に対して「奄美の人が島の生態系や生物多様性を知らないことが要因」と指摘。亘悠哉氏(森林総合研究所)はマングース防除の効果として奄美の在来生物の回復状況を説明。「この状態を担保するため、マングースの根絶は必要」と訴えた。
岩本千鶴氏(環境省奄美自然保護官事務所)はマングースの推定生息数がピーク時の1万匹から50匹程度まで減少したと説明。「根絶が成功すれば世界最大規模の成功事例になる」と防除の成果を示し、「新たな『マングース』を出さないために、奄美の事例を広く啓発したい」と述べた。
マングースバスターズの発足からの歩みについて紹介があったほか、パネルディスカッションでは有識者を交えて根絶に向けたマングース防除の課題などを話し合った。
Posted by jun at 2017年11月23日 10:35 in 外来生物問題