アライグマによる農業被害が香川県内で深刻化している。2015年度の被害額は約2500万円で、初めて被害が確認された04年度は獣害の被害額全体の0.2%だったのが、1割以上を占める。住宅に住み着いて家屋に被害を及ぼすこともあって県は駆除に力を入れるが、被害は高止まりしている。【岩崎邦宏】
「収穫の前にやられて困っている。とにかく駆除してほしい」。綾川町のブドウ農家、長尾弘さん(84)は頭を抱える。初めて被害を受けたのは7、8年前だ。ブドウが熟れる7月ごろ、ネットをすり抜けてビニールハウスに入られ、実を食べられた。深夜に見回りをしても、毎年150房ほどが駄目になる。綾川町でのブドウを含めた被害額は15年度、県内最多の約1600万円だった。
アライグマは北米原産のアライグマ科の動物。全長60〜100センチで可愛らしい顔が特徴だ。しかし狂犬病などの媒介動物とされ、「特定外来生物」にも指定されている。日本には1980年ごろにペットとして輸入されたが、逃げたり捨てられたりして各地で繁殖。1頭当たり3〜5頭の子を産み、繁殖力が高い。県内でも島しょ部を除く全域で生息しているが、生息数は分かっていない。
県農業経営課によると、アライグマの農業被害額は04年度は60万円だったが、右肩上がりに増え14年度は約3300万円に達した。ブドウやイチゴの被害が目立つという。イノシシやサルなどを含めた獣害全体の被害額が10年度の約2億8800万円をピークに減少傾向にあるのとは対照的だ。
被害は農業だけではない。家屋の屋根裏に住み着いてフンをしたり、深夜に物音を立てたりして生活環境を悪化させる。三豊市の住宅では昨年、天井とともにアライグマが落ちてきたこともあったという。
県が注力するのが、箱わなによる駆除だ。10年度に駆除従事者を養成する講習会を始め、402頭を捕獲した。16年末までに約1200人が講習を受けて駆除の資格を得たが、捕獲数は減少傾向で、15年度は169頭にとどまった。
効率的な捕獲を促そうと、アライグマの出産期にあたる4〜6月に限り、捕獲奨励金を増額することを県は検討している。現在の奨励金は1頭3000円で、イノシシやサルの半額以下。これを引き上げ、捕獲意欲を高める狙いだ。
県みどり保全課は「ここまで被害が広がると根絶するのは難しく、まさに『いたちごっこ』。農作物や生活環境への悪影響があるため、地道に駆除していくしかない」としている。
Posted by jun at 2017年04月11日 10:32 in 外来生物問題