「鮎王国ぎふ」復活プロジェクトを進める県は新年度、河川に放流する稚鮎をこれまでより早い時期に、小型サイズで放流する事業に乗り出す。放流匹数を増やすことで、安定的な鮎資源を確保する狙い。ピーク時の8分の1まで激減した県内の鮎の漁獲量を伸ばし、2020年の漁獲量日本一を目指す。
農林水産省東海農政局によると、県内の鮎の漁獲量は、1992年の1719トンをピークに、2015年は全国4位の213トンまで減った。冷水病の発生や漁協組合員、遊漁者の減少、若者の釣り離れなどが主な要因とされている。
県は放流する稚鮎の生産量拡大と放流匹数の増加によって、漁獲量の増加を図る。昨年、魚苗センター(美濃市)の拡充整備に着手。稚鮎の生産量を年間60トンから72トンに伸ばす体制を整えている。
さらに、放流匹数を増やすため、放流時の大きさを10グラムから8グラムにする。稚鮎の放流量は各漁協の計画に基づき年間計120トンとなっており、小型化によって魚苗センター産の放流匹数を300万匹増の900万匹にする構想だ。放流時期は従来の5月ごろから、4月ごろに前倒しする。
ただ、稚鮎の単価は同じ年でも早い時期の方が高く、放流を実施する漁協の購入経費がかさむため、県が負担の一部を補助する方針。現在、センター産と琵琶湖産の稚鮎を60トンずつ放流しているが、早い時期は河川の水温が低く冷水病の発生が懸念されるため、病気に強いセンター産の稚鮎の放流を増やすことで生存率を向上させる。
また、県は新たに鮎を材料にした食のイベントや都市部でのメニューフェアを開催し、販路拡大を促進する考え。「鮎資源の拡大」「川や魚に親しむ機会の拡大」「鮎の販路拡大」を3本柱に掲げ、鮎を中心とした内水面漁業の振興に取り組む。昨年開設した県内水面漁業研修センター(各務原市)では、アジアやアフリカなどから研究員らを受け入れており、さらに開発途上地域の漁業発展を支援する。
「清流長良川の鮎」の世界農業遺産認定を受け、県内の鮎は注目を集めており、県里川振興課は「良好な漁場環境を維持するとともに、釣り人らを増やして川ににぎわいを取り戻し、魚に親しむ機会をつくっていきたい。そうした有機的なつながりをつくり、県全体の水産業の発展につなげたい」としている。