手賀沼(千葉県)の岸辺などで、特定外来生物に指定されている南米原産の水草「ナガエツルノゲイトウ」が異常繁殖している。沼を管理する県は「治水上は問題ない」とするが、環境保護団体や漁協など23団体でつくる「美しい手賀沼を愛する市民の連合会」(八鍬雅子会長)は11月25日、根元からの引き抜き作業を初めて実施。「さまざまな被害が出る恐れがあり、行政は早急に駆除を」と訴えている。【橋本利昭】
ナガエツルノゲイトウは1989年に兵庫県で国内初確認された。県内では翌90年に印旛沼で初めて確認され、手賀沼でも約10年前に見つかった。連合会は遮光シートを敷くなどの対策を講じてきたが、駆除は追いついていないのが現状だ。
岸辺に根を張りながら徐々に沼の内側方向に繁殖域を広げるナガエツルノゲイトウは、台風などで増水すると大きな塊となって離岸。連合会によると、昨年7月の長雨の際には我孫子市側のボート乗り場に塊が漂着し、営業できない状態となった。今年5〜6月にも沼の東側にある排水機場のポンプ場前のブイや、手賀沼水系の亀成川の取水堰(せき)で引っかかり、計約930キロを除去した。
連合会によると、現在は手賀沼(上沼)の岸の半分にあたる約10キロにわたって広がり、釣り人も自分で刈りとって場所を確保しているという。引き抜き作業はこうした事態を受けたもので、約60人が参加し、4トントラック6台分を回収した。
特定外来生物は外来生物法で駆除後の移動が規制されている。環境省に届け出た上で、団体が行う駆除のバックアップという形で協力する県柏土木事務所は「治水上は問題なく、駆除対策の予算はとれない」と説明。八鍬会長は「いずれ排水機場を塞いで洪水を引き起こしたり、手賀沼の水を引く水田で繁殖して、農機具の故障などを招く可能性がある」と懸念している。
◇原発汚染土の飛散心配の声も
駆除を難しくしている一因が、東京電力福島第1原発事故に伴う手賀沼の底土の高濃度汚染だ。先月25日も、底土飛散を懸念する柏市のブルーベリー農園経営者から市に抗議があったという。ただ、市によると、駆除現場の空間放射線量は国の除染基準(毎時0.23マイクロシーベルト)を下回る0.1マイクロシーベルトだった。
県柏土木事務所は今回の駆除について「駆除したナガエツルノゲイトウに泥はほとんどついておらず、市の測定結果からも問題ないと判断している」と説明。柏市は「心配する人がいる以上、『飛散防止に配慮してほしい』と呼びかけるしかない」と話している。
2015年度の環境省調査では、乾燥させた手賀沼の底土1キロ当たりの放射性セシウム濃度は最大4240ベクレルと高い数値で、沼に流入する大堀川や大津川の乾燥土も1000ベクレル台。県は、大堀川沿岸の特に数値の高い4カ所を立ち入り禁止としている。
Posted by jun at 2016年12月08日 11:06 in 外来生物問題