2016年10月04日

ハス再生へ前途は厳しく 滋賀・烏丸半島から消失

 国内最大級の群生地として知られる滋賀県草津市・烏丸半島のハス。今夏は思わぬ形で全国的なニュースとなった。例年なら湖面を埋め尽くす葉が成長せず、夏の風物詩だったピンク色の花もほとんど開花しなかった。草津市や滋賀県が専門機関と連携して原因を調査している。市にとって重要な観光資源だけに再生を図る方針だが、長期的な取り組みになるとみられる。ハスの消失が生んだ波紋は、当分収まりそうにない。

■移植に課題、外来植物繁茂
 今年は烏丸半島の施設にとって特別な年だった。県立琵琶湖博物館は20周年を迎え、7月にリニューアルオープン。市立水生植物公園みずの森も20周年で、7月に記念シンポジウムを開いた。「節目の年に、まさかハスが咲かないとは」。市の観光担当者が嘆く。
 ハスは半島周辺の約13ヘクタールで自生。水深が浅く水流も緩やかな環境が、繁茂に適しているとみられる。市などが生育不良の原因を調査している。徳島県農林水産総合技術センターの専門家を招き、9月1日に土壌を採取して、化学的な分析調査を依頼した。ミシシッピアカミミガメの食害も疑われており、実際に個体数の増加が確認された。
 ハス群落は草津市を象徴する景観の一つであり、観光名所としても大きな意味を持つ。「JTB感動の瞬間100選」「池坊花逍遙100選」「新日本歩く道紀行100選」に選出され、観光ツアーも多い。
 しかし今年、隣接する「水生植物公園みずの森」の入園者は、7月で前年比22%減、8月で同49%減と大幅に落ち込んだ。ハスクルージング、熱気球フライトの乗客も低迷した。こうした状況を受け橋川渉市長は7月28日の定例会見で、「市の観光業にとって大きな打撃であり、再生に向けて取り組みたい」と述べた。
 市は移植を見据えて、水生植物公園みずの森でハスの苗を育成している。ただ市がヒアリングした研究者からは「これまで自生したハスを人為的に植えるのはそぐわない」という意見も出ているという。土壌の改善でハスが繁茂しやすい環境に再生できるかなど、検討課題は多い。
 ハスの増加をめぐり、自治体間に温度差もある。8月5日に開かれた滋賀県と市の関係者会議後の会見で、市環境経済部の竹村徹部長は「水質浄化との均衡を図りながら再生を目指したい」と繰り返した。ハスの繁茂によって、守山市側の堺川の水流が滞ることを念頭に置いた発言だった。
 ハス群落は草津市と守山市にまたがっている。ハスを観光資源として保護する草津市に対し、守山市域では水流の妨げや水質悪化を招くとして、県などが刈り取っていた。草津市によると、同市域のヨシ群落保全条例の対象地域に限り再生を目指す方針で、守山市と調整しているという。
 最近さらに不安材料が加わった。ハスが広がっていた場所に、特定外来生物のオオバナミズキンバイが増殖している。南湖を中心に急増し、生態系への影響から県が緊急対策に追われている植物だ。市は県と連携して対策を進める。
 10月中旬に関係者会議が開かれ、滋賀県と草津市に加えて、守山市も参加する予定。土壌調査の結果などが報告される見通しで、どこまで原因解明に迫れるか注目される。

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Posted by jun at 2016年10月04日 10:20 in 外来生物問題, 自然環境関連

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