環境省が特定外来生物に指定しているナルトサワギク(キク科)の分布が和歌山県紀南地方で拡大している。埋め立ての土砂や道路沿い斜面の吹き付けに種子が混じって広がるといわれており、紀勢自動車道の南伸が要因の一つとする声もある。繁殖力が強く、在来植物を脅かし、毒性もあるため家畜への被害も心配される。植物研究者や畜産関係者らが警戒を強めている。
ナルトサワギクはマダガスカル原産で、国内では1976年に徳島県鳴門市で初確認されたことから名が付けられた。埋め立て地の緑化用にアメリカから輸入したシロツメクサなどの種子に混じっていたとされ、分布域は全国で急速に広がっている。平野や丘陵地の日当たりの良い場所を好み、春だけでなく年中繰り返して花を咲かせる。
県立自然博物館(海南市)の内藤麻子学芸員(35)によると、県内でも海岸や公園などの空き地や荒れ地で見られる。造成など埋め立てのために運び込んだ土砂、道路斜面の緑化のための吹き付けに混じっている可能性がある。さらに種子は風に乗って飛ぶため、容易に生育域を広げる。拡大で最も心配されるのは毒性があることによる家畜への被害。「好んで食べるわけではないが、飼料に混じっていれば一緒に食べ、中毒になる可能性がある」という。
県内では北部で20年ほど前から見られるようになり、白浜町の空港周辺では15年ほど前から目立ち始めた。その後も南下し、すさみ町では4年ほど前から増え始め、覆い尽くすように広がった海岸や空き地もある。昨年夏に開通した紀勢自動車道南紀田辺IC(インターチェンジ)―すさみ南IC間の斜面でも見られ、串本町でもぽつぽつと確認できる。
熊野自然保護連絡協議会副会長の滝野秀二さん(69)=新宮市橋本1丁目=は「黄色い花が広がり、一見きれいかもしれないが、在来の植物を駆逐してしまう可能性がある」と話す。紀南地方の海岸には絶滅危惧種が多く、影響を心配している。
すさみ町見老津にある県畜産試験場では、牛を放牧する牧場や餌となる牧草を育てる畑の周辺で見られる。2、3年前から見掛けるようになり、牧場や畑に生えないように除草剤を使って駆除しているという。小西英邦場長(56)は「牛が好んで食べるわけではなく、今のところは被害はないが、今後、勢いを増して辺り一面に広がらないか心配だ」と話す。
近畿地方整備局紀南河川国道事務所(田辺市中万呂)は「自動車道のり面にナルトサワギクが生えているのは確認しているが、増えている原因は分からない。今後様子を見て、必要であれば対策を考えたい」と話す。
引き抜いてその場に置いたままだと再生するため、適切な処分が必要。植物研究者らは「少ないうちに引き抜き、焼却したり、ごみとして捨てたりしてもらいたい」と呼び掛ける。
Posted by jun at 2016年05月03日 09:16 in