兵庫県篠山市のアライグマ対策専門の特定非営利活動法人(NPO法人)「大山捕獲隊」は、活動の「見える化」で地域住民と一体となった対策を実現し、被害を大幅に軽減した。地図に捕獲した場所や頭数、被害現場の写真、季節に応じた対策などを載せた活動報告を毎月1回発行。情報を共有することで、地域住民の関心を高める好循環を生み出した。
捕獲隊は、発行した報告書を集落の掲示板や市庁舎に張り、市内の5支所にも置いている。自治会放送を活用して情報を発信する他、活動報告会やアライグマの生態を学ぶミニ学習会なども開いている。
住民が被害をしっかり認識する上で、役立つのが映像だ。法人理事長の西牧正美さん(65)は、常にタブレット型多機能携帯端末を持ち歩き、壁をよじ登ったり、空気口から入り込む映像を住民に見せている。
他にもアライグマの出没が疑われる場所に赤外線のセンサーカメラを設置。住民が寝静まっている真夜中に徘徊(はいかい)するアライグマの姿を映像で見せることができるため、住民が強い危機意識を持つという。
西牧さんは「百聞は一見にしかず。映像で見ると印象に残り、口コミでも広がる」と効果を強調する。
箱わなを設置した際には、近所の人に定期的に見回ってくれるよう声掛けもしてきた。今では活動を聞きつけた、地域を定期的に巡回する警察官や宅配便業者、郵便局職員らが箱わなの状況を確認し、伝えてくれるようになった。
対策は着実に成果を挙げている。捕獲頭数は、2010年から5年間で135頭に達した。こうした活動を通じ、アライグマによる農作物被害や生活被害が大幅に減ったという。
取り組みは周辺の集落にも波及し、市内6集落で住民主体の対策が始まっている。法人と連携し、活動を支援する県森林動物研究センターの横山真弓主任研究員は「見える化で捕獲に対する住民のモチベーションを維持し、周辺集落へのPRにもつながった」と分析する。
同市大山は、ブランドスイカ「大山スイカ」の産地。アライグマ被害が急拡大した11年に住民の有志で任意の団体を結成。12年、総務省の事業で支援を受けたことをきっかけに「対外的な身分を確立し、信用度を上げる必要がある」と考え、大山捕獲隊として法人化した。アライグマ対策専門のNPOは全国的にも珍しいという。
横山研究員は「アライグマは重症熱性血小板減少症候群のウイルスを媒介するマダニを運ぶなど、生活へのリスクも高い。捕獲隊のように官民連携し、持続可能な体制づくりが必要だ」と提起する。(竹内啓太)
Posted by jun at 2015年06月22日 13:55 in 外来生物問題