琵琶湖を代表する固有種で漁獲量が激減しているニゴロブナ復活の手がかりになればと、滋賀県水産振興協会(草津市)が、毎年10月に湖に放流する稚魚の一部を今年、試験的に3月にずらして放流している。南湖で異常繁茂が問題になっている水草対策として3月に放流しているワタカの数が予想以上に増えているためで、「魚種は違うが、同じように増えるかもしれない」と期待している。
同協会は、琵琶湖の水産資源を増やす目的で1983年に発足。ニゴロブナの稚魚は例年4月から飼育を始め、ブラックバスなど外来魚に食べられにくい体長11センチ、体重20グラムほどに育つ10月ごろに約90万匹を放流している。徐々に放流数を増やしてきたが、それでも年間漁獲量はピークだった88年の198トンから減少傾向を続け、2013年は39トンにまで落ち込んだ。
一方ワタカは、水草を食べる琵琶湖で唯一の魚として、県の委託を受けて09年から放流。水温が下がり外来魚の動きが鈍る3月に稚魚30万〜40万匹を放してきた。大きさは約5センチで、ニゴロブナよりも食べられやすいはずだが、かつてはほとんど生息していなかった南湖で漁師が「漁の邪魔になっている」と話すほど増えてきたという。
ニゴロブナは放流している最中にも外来魚に食べられているのが湖上から見えていたといい、担当の中新井隆さん(45)は「稚魚の大きさだけでなく、放流する時期も重要かもしれない」と推測し、今年初めて90万匹のうち12万匹を3月に放流することにした。10月から翌年3月放流までの間の飼育費用がかかるが、「増えてくれれば、多少のコストはしょうがない」と話す。
放流場所も変えている。以前は北湖70万匹、南湖20万匹の「北湖重視」だったが、北湖で漁獲量増加の兆しが見えきたため、11年から南湖を増やしており、今年は北湖30万匹、南湖60万匹とした。
3月中旬までに4回に分けて放流した。効果が分かるのは2年後といい、中新井さんは「特に漁獲量の減少が著しい南湖で増えてくれれば」と話している。