【AFP=時事】米フロリダ(Florida)州で、遺伝子を組み換えた蚊を自然界に放ってデング熱を媒介する外来種のネッタイシマカを減らす英バイオテクノロジー企業「オキシテック(Oxitec)」の計画に、不安を覚えた地元住民たちが反対運動を展開している。
オンライン署名募集サイト「Change.org」には、釣りやダイビングの名所として人気のフロリダが「突然変異の虫のための実験場」にされるのを防いで欲しいと規制当局に嘆願する署名運動が立ち上げられ、1月30日までに14万5000人以上が署名した。
問題となっている計画は、研究室で培養した雄のネッタイシマカに、自然界に生息する雌と交尾して生まれる幼虫が成虫になる前に死ぬDNAを注入し、1週間に数回、自然界に放出するというもの。雄のネッタイシマカは人を刺すことはなく、デング熱の原因となるウイルスを媒介しているのは雌だけだ。
オキシテックは、自社ウェブサイトで「ネッタイシマカはただの害虫ではない。デング熱やチクングンヤ熱など深刻な病気を拡散する」と説明。遺伝子を操作した「GM蚊」を「蚊と戦う新しい手法」として、フロリダ南部でネッタイシマカを減らすための試験導入に理解を訴えている。
同社によると、GM蚊を利用した対策は既に英領ケイマン諸島(Cayman Islands)とブラジルで実施され、蚊の数が90%以上減少したという。
こうした結果をもとに、フロリダキーズ蚊駆除区(Florida Keys Mosquito Control District)はオキシテックのGM蚊放出計画への協力に合意し、研究施設が建設された。計画実行には米食品医薬品局(FDA)の承認が必要だが、承認されれば数か月以内にも蚊の放出が始まる。
■GM蚊への反対は理解不足から?
反対派は環境への影響を懸念し、コウモリや人など他の生物にも影響が及ぶのではないかと心配している。
オンライン署名では、オキシテックの説明以外にGM蚊の効果や安全性を示す第三者機関の研究がないことや、デング熱がフロリダ南部でここ数年流行しておらず現行の対策が十分機能していることなどを指摘する声が上がっている。
一方、米蚊駆除協会(American Mosquito Control Association)の技術顧問を務めるジョー・コンロン(Joe Conlon)氏はAFPの取材に、害虫を駆除する目的で不妊雄を自然界に放すことは新しい考えではないと指摘する。
フロリダでも、1950年代にラセンウジバエと呼ばれる寄生虫の雄が放射線によって不妊処理を施され放出された例があり、「驚くほど効果があった」とコンロン氏は語った。ただ、米蚊駆除協会はオキシテックのGM蚊計画については立場を明確にしていない。
放射線を照射する手法は、脆弱な蚊にはあまり効果がない。だが、遺伝子組み換え技術ならば、水辺や室内など人間の近くで交尾する蚊の繁殖の抑制に有効だ。蚊を絶滅させるまでには至らず、殺虫剤の代わりとなるものでもないが、化学物質の使用を減らせると期待する声もある。
オキシテックのGM蚊計画に反対する人々について、コンロン氏は米国民の一部に見られる理解の欠如によるものだと指摘した。「遺伝子組み換えの知識を映画『ジュラシック・パーク(Jurassic Park)』から得た米国民には受け入れにくいだろう。理解できないものを提供されたら、即座に恐怖を感じるものだ」 【翻訳編集】 AFPBB News
Posted by jun at 2015年02月03日 13:02 in 魚&水棲生物, 自然環境関連