2014年12月29日

【記者ノート】セアカゴケグモ生息域拡大 車などに巣、油断禁物 埼玉

 7月28日夜、川越市砂新田の自宅アパートの庭で女性が見慣れないクモに気づいた。生きたまま捕獲し、翌29日、県西部環境管理事務所(同市)に届けた。「県内初のセアカゴケグモ発見。毒を持つので素手で触らないように」。この日、クモの正体を確認した県みどり自然課が発表すると、県内メディアは一斉に報じた。同事務所には直後の30日から3日間で6件の問い合わせがあり、その後もニュースになるたび電話が鳴り、今月24日現在、その数は48件になっている。

 正直にいうと、「初めての確認?」と逆に驚いた。国内では平成7年に大阪府高石市で初めて発見され、その後も西日本を中心に各地で見つかり、埼玉県は33府県目。さらに9月に東京都、11月に栃木県、山梨県と相次いで確認され、環境省によると、生息域は37都府県にまで拡大している。

 1度見つかると、関心が高まるためか、県内でも9月下旬に三郷市、10月初旬と中旬に春日部市と富士見市、さらに11月に久喜市、12月に幸手市・春日部市と次々に発見され、確認例は計6例に広がっている。川越以外では卵嚢(らんのう)も合わせて見つかり、繁殖しているのは間違いない状況だ。

 確かに「毒グモ」の響きはセンセーショナル。オーストラリア原産のこのクモは、雌が人をかむ。環境省によると、かまれると痛みなどを感じ、まれに進行性の筋肉まひが生じるなど重症化。原産地では死亡例もあるが、通常は数時間から数日で症状は軽減。血清ができて以後、死者はない。

 急速に生息域を広げたのはなぜか。県内6例目をみるとよく分かる。12月2日、幸手市の事業所が大阪から搬入された中古車の整備中、車体の下部に巣があり、生体14匹と卵嚢18個を発見した。この車は11月中旬、春日部市の事業所を経由していたため、駐車した付近を調べたところ、生体と卵嚢が見つかった。

 こうして車や建築資材などに営巣し、各地に移動。生息に適した側溝や自動販売機の裏側など暖かい隙間やくぼみに巣を作り、小さな虫などを食べて生息域を急速に広げたとみられる。

 毒を持つセアカゴケグモの雌は体長約1センチ。腹部の背面に赤い縦筋があるのが特徴で、攻撃性はなく素手で触るなどしない限りかまれることはないという。見つけた場合、被害を回避するためにも殺虫剤を使ったり、踏みつぶすほかない。

 県内ではアライグマをはじめ、多くの外来生物が定着。大阪府ではセアカゴケグモも既に蔓延(まんえん)しており、県内でも身近にいて不思議はない。毎年死者が出るスズメバチの被害に比べ、セアカゴケグモは油断はしていけないが、極度に恐れることもないのかもしれない。(石井豊)

+Yahoo!ニュース-関東-産経新聞

Posted by jun at 2014年12月29日 11:58 in 外来生物問題

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