外来種の中でも、生態系被害が顕著なものは、「侵略的外来種」と呼ばれ、積極的な対策が展開されている。ところが、近年駆除の試行例が増加するに従い、駆除がもたらす副作用も報告され、外来種対策は一筋縄ではいかないことが理解されるようになってきた。
例えば、在来魚などに大きな被害を与えるオオクチバスは、完全駆除に成功した事例も多い。しかし、オオクチバス(肉食)とアメリカザリガニ(雑食)が一緒に生息している場合には注意が必要である。前者は後者の強力な捕食者なので、オオクチバスだけ駆除するとコントロール役を失ったアメリカザリガニが激増し水草が根絶され、駆除実施前より環境が劣化した事例が報告されている。
このように、複数の外来種が侵入定着しているところで駆除を実施する場合には、駆除の順番ややり方に細心の注意が必要なこと、状況をモニタリングしフィードバックしながら戦略を変えていく柔軟な対応が必要なことが分かってきた。
良かれと思って実施した駆除で、「やる前より環境が悪くなることがある」のはつらい事実だが、自然環境を相手にするには、われわれの知見は限定されたものであることを自覚していけば、最適解にたどり着く日も近いだろう。
(県立生命の星・地球博物館主任学芸員 苅部 治紀)