1974年の七夕豪雨を契機に始まった治水対策で、田んぼから多目的遊水地に姿を変えてきた静岡市葵区の麻機遊水地。希少植物をはじめ昆虫や鳥類、水生生物など豊かな生態系が市街地の近くで観察できる全国的にも貴重な水辺で近年植生の“異変”が生じ、関係者は危機感を募らせている。湿地の環境を整えてきた工事が外来種侵入の要因の一つになり、希少種激減を招いているという。
遊水地の保全に努める巴川流域麻機遊水地自然再生協議会などによると、遊水地ではこれまで、県の絶滅危惧種に指定される植物など多くの希少種が確認されてきた。99年にミズアオイの大群落が見つかり、2010年には突然数多くのオニバスが芽を出した。いずれも掘削工事で土が掘り起こされたことにより発芽が促されたと推測されている。
しかし、土の入れ替え工事などが始まるとセイタカアワダチソウやオオフサモといった外来植物が入り込み、一気に繁殖した。水辺に広がったミズアオイは一時期、ほとんど見られなくなり、現在は保全活動によって何とか群落を保っている状態。希少種だけでなくアリアケスミレやコオニタビラコなど水辺の四季を彩ってきた草花もめっきり減った。
同協議会のスタッフは「遊水地の環境は良くも悪くも人の手が加わることでつくられてきた。それだけに、管理し続けなければ希少種の植生を維持することはできない」と話す。外来種の完全駆除が困難なことに加え、保全ボランティアの高齢化も進み、今後に多くの課題があるという。
同協議会再生・保全管理部会の石上恭平さん(62)は「希少植物が今後、再び繁殖する可能性も十分にある。課題は多いが、行政と協力して取り組み続ける」と力を込めた。
◇「学習の場」にも活用
麻機遊水地は子どもたちが環境について理解を深める学習の場としても利用されている。保護に携わる関係者も貴重な水辺を次代に引き継ごうと、観察会に力を入れる。7月26日には夏休みの小学生を対象に、オニバスの観賞会が開かれた。
スイレン科のオニバスは池沼に生える一年草で、県の絶滅危惧2類に指定されている。葉や茎にとげがあるのが特徴。巴川流域麻機遊水地自然再生協議会のボランティアが「触ると痛いから気をつけてね」と声を掛けながら、水槽に浮かべたオニバスの葉や花を示すと、子どもたちは「葉が大きい」「とげとげがいっぱい」とうれしそうに声を上げた。
初めて見たという静岡市立竜南小4年の男児(9)は「裏はとげだらけ。すごく変わっている。花は小さいけど、よく見るときれい」と話した。
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Posted by jun at 2014年08月12日 15:15 in 外来生物問題