2014年03月25日

四大家魚、ミシシッピ川上流にも侵入

 アメリカ地質調査所(USGS)の研究チームは先週、北アメリカで最も嫌われている侵入外来種がミシシッピ川上流で発見され、分布の拡大が懸念されると発表した。

「アジアン・カープ(アジア産のコイ)」は過去20年以上にわたりアメリカで繁殖し、生息域を広げてきた。しかし、USGSの侵入種科学アドバイザー、シンディ・コーラー(Cindy Kolar)氏によると、今回意外な場所から発見され、科学者らは驚いているという。

 同研究所の研究者が昨年、ミシシッピ川上流のウィスコンシン州リンクスビルで採取したサンプルに、孵化間近の後期胚を含むアジアン・カープの卵が見つかった。これまで確認されていた繁殖地より400キロも上流だ。

 中国原産のハクレンまたはコクレンと見られるが、どちらも成長すると1メートル、体重50キロを超える大型の魚で捕食動物もいないため、環境保護関係者には心配の種だ。大量のプランクトンと水生植物を餌とし、他の生物種に多大な影響を与える。趣味の釣り人達も、釣る魚がいなくなってしまうのではと心配している。

 このため、連邦政府および州政府は巨額の費用を投入し、電気バリアや水鉄砲、匂い付きルアーなどの様々な手段を使ってコイの繁殖を食い止めようと対策に当たっている。

◆アジアン・カープとは?

 アジアン・カープは、中国で「四大家魚」と呼ばれるコクレン(Hypophthalmichthys nobilis)、ハクレン(Hypophthalmichthys molitrix)、ソウギョ(Ctenopharyngodon idella)、アオウオ(Mylopharyngodon piceus)を含むコイ科淡水魚の総称である。金魚や錦鯉、原種のコイ(Cyprinus carpio)もこの仲間だ。コイはすでに100年以上も前から、侵入種として北米大陸の広範囲の水系に定着している。

 今回ミシシッピ川で発見された卵は、コクレンもしくはハクレンのもので、いくつかはソウギョのものである可能性もあるという。

 アジアン・カープは数十年前からミシシッピ川を北上している。1970年代に南部で池の浄化に役立てようと導入されたものが水産養殖施設から抜け出したと考えられている。

 一般的なコイよりも美味しいとされ、アジアでは重要な食料として千年以上前から養殖されている。米国では、増殖を食い止める対策の一つとしてアジアン・カープを捕まえて食べるよう呼びかける生物学者が増えてるが、効果はまちまちだ。

◆五大湖は安全か

 アジアン・カープの増殖に関して特に心配されるのは、釣りや観光の要所である五大湖へ侵入や、環境への影響の大きさだ。シカゴ川には数百万ドルを投与して侵入を防ぐ柵が設置されたが、侵入は時間の問題と考える人も多い。

 2012年、五大湖への支流であるサンダスキー川で、漁師が4匹のソウギョを捕獲した。

 コーラー氏によると、リンクスビルで卵が発見されたからといって、それが必ずしも五大湖への侵入を意味するわけではない。この地域は源流に比較的近く、基本的にそこで行き止まりになっている。

 しかし、アジアン・カープの増殖を懸念することには正当な理由があるという。「アジアン・カープの生息場所では魚類個体群に変化が見られる。五大湖へ侵入すれば、問題が生じることは間違いないだろう」と同氏は話している。

Brian Clark Howard, National Geographic News

+Yahoo!ニュース-科学-ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト

Posted by jun at 2014年03月25日 13:04 in 外来生物問題

mark-aa.jpg