埼玉県(所沢、入間市)と東京都(東村山、東大和市など)にまたがる狭山丘陵に特定外来生物のキタリスが定着していることが1日までに、日本哺乳類学会(理事長・梶光一東京農工大教授)の調査で明らかになった。同学会は「このまま放置すれば分布が近隣の加治丘陵や奥武蔵丘陵に拡大し、在来種ニホンリスとの交雑が起きる事態が危惧される」として、石原伸晃環境相と東京、埼玉両都県知事に駆除などの対策を要望。これを受け環境省(関東地方環境事務所)は7日、東京都、埼玉県、同学会などの関係者を集め対応を協議する。
同学会哺乳類保護管理専門委員会の田村典子委員によると、狭山丘陵では1980年代からリスが目撃されている。同学会が98年に丘陵周囲の道路で見つかった死体のDNA解析をし、キタリスであることが確認された。キタリスは2005年に特定外来生物に指定されるまでペットとして輸入、販売されており、それが野生化したとみられる。
狭山丘陵は東西11キロ、南北4キロ、総面積3500ヘクタールで、都の水がめである狭山湖や多摩湖がある。立ち入りできない水源保安林を除く全域で00年に聞き取りや痕跡調査をした報告によると、北東部を除く全域にキタリスが分布していることが判明した。
狭山丘陵は孤立した緑地帯のため、現時点では分布拡大は抑制されていると考えられる。丘陵内でニホンリスの生息は確認されていない。
しかし、西方に約5キロの加治丘陵(入間市など)や草花丘陵(東京都あきる野市など)にはニホンリスが生息する。キタリスの増加に伴って分布が拡大し、周囲の山林に侵入した場合、在来のニホンリスと交雑する可能性が考えられる。同学会は一度交雑してしまうと、外見的な識別は難しく、生息地域も広がり、交雑個体を取り除くことは非常に困難になるという。
そうなると、日本固有種であるニホンリスの遺伝的な特異性は失われ、日本の生物多様性保全の観点から大きな損失となる。同学会は現段階でキタリスを除去し、周囲の山林に分布が広がるのを防ぐ必要があると強調する。
同学会は、千葉県のアカゲザルとニホンザルの交雑事例を挙げ、早期対策の重要性を指摘。その上で、(1)野外からの排除の早急な着手(2)狭山丘陵の中心部にある水源保安林や丘陵周辺に点在する個人所有緑地の生息分布確認(3)防除作業を効率的に進めるため環境省と東京都、埼玉県が連携し、関係機関・団体が協働する防除体制の確立と専門家の協力―を訴えている。
要望を受けて関東地方環境事務所は、7日に東京都環境局自然環境部計画課や都水道局、埼玉県環境部みどり自然課、同学会哺乳類保護管理専門委員会の関係者を招集して対策を協議。現状を認識するとともに、今後の取り組みを検討する。
■キタリス リス科の動物。イギリス、アイルランドを含むヨーロッパ、ロシア、中国、韓国および北海道に分布し、北海道に分布するものは固有亜種エゾリスとされる。体はニホンリスより大きく、毛が多く長く、外見上も夏の部分的な体色変化がない。目の周りの白い縁取りがないなどの違いがある。ニホンリスとは別種だが、遺伝学的には非常に近縁で、ニホンリスと交雑する可能性が高いことから05年、外来生物法に基づく特定外来生物に指定された。
Posted by jun at 2014年02月06日 15:24 in 外来生物問題