ペットショップやお祭りの屋台で販売されているミドリガメ。美しい緑の甲羅が目を引き、ペットとして古くから親しまれていますが、野外に遺棄された個体が繁殖し、日本の生態系を脅かしています。年々状況が悪化するなか、現在どのような対策が求められているのでしょうか。
ミドリガメとは、一般的に北米原産のミシシッピアカミミガメ(以下アカミミガメ)の幼体のことを指します。子どもの頃は小さくてかわいい姿をしているのですが、大きくなると甲羅の全長が約30センチメートルにもなり、人間の指に噛みつくなど性格も荒っぽくなるといわれています。飼い主の手に負えなくなったアカミミガメは、川や池に遺棄されがちで、そういった個体が野性化して繁殖しているのです。
アカミミガメは繁殖力が強く、在来種のニホンイシガメが2012年に準絶滅危惧種に指定されるなど、ほかのカメを駆逐しています。また雑食性で、藻類や水草のほか、魚や貝、水生昆虫などをエサにしており、生態系への影響が問題視されています。地下茎がレンコンとして収穫されるハスの新芽をアカミミガメが食べてしまうなど、食害も報告されています。
こういった事態を受けて、対策に乗り出す自治体も出てきており、兵庫県の明石市では昨年、家庭で飼えなくなったアカミミガメを無料で引き取る「カメポスト」が設置されて話題になりました。また、須磨海浜水族園では、2010年からアカミミガメを捕獲して持参すれば入園料が無料になる「アカミミガメ・パスポート」を毎年期間限定で発行しています。
このように、いくつかの対策が実施されていますが、まだまだ不十分というのが現実のようです。
飼育を規制するだけでは解決しない
アカミミガメは「要注意外来生物」に指定されていますが、いまのところ飼育や輸入の規制はありません。輸入や飼育、遺棄を禁じる「特定外来種」にするべきだという意見もあり、2014年1月9日付けの読売新聞(夕刊)には、「ミドリガメ飼育規制へ」という見出しのついた記事も掲載されました。
しかし、単に飼育を規制するだけでは、家庭で飼われている大量の個体が遺棄され、さらなる生態系の悪化を招く恐れもあります。同記事でも、「数十万匹とみられるペットの飼育を禁じるのは初の試みで、混乱も予想される」と指摘されています。また、責任を持って最後まで飼うという姿勢を大切にするべきだという意見もあります。
週刊朝日2014年1月31日号では、「まだ情報収集をしたり、大量に捨てられないような規制の方法を検討している段階で、禁止とは決まっていない」という環境省のコメントを紹介しており、即座に飼育を規制するという方向にはならないようですが、強力かつ実効性のある対策が急務であることは間違いありません。
Posted by jun at 2014年02月05日 17:56 in 外来生物問題