2014年01月14日

世界遺産が危ない! 奈良・春日山原始林に「ナラ枯れ」拡散

 奈良市の若草山に隣接し、世界遺産にも登録されている春日山原始林で、昆虫が媒介する菌で樹木が枯死する「ナラ枯れ」被害が拡散しているのが確認された。奈良県によるパトロールだけでは限界があるとし、県は民間の協力を得るため受け皿となる団体を近く設立する方針を固めた。

 ナラ枯れは、体長5ミリほどの昆虫「カシノナガキクイムシ」が樹木に穴を開け、病原性の「ナラ菌」を持ち込むことで発生する。感染すると幹の中の水を運ぶ導管が詰まり、樹木が枯死する。昆虫は別の樹木にも移動するため、被害は拡散していく。

 原始林に隣接し、新年の恒例行事「山焼き」でも知られる若草山では、これまでも被害の拡大が確認されており、県や奈良市が被害樹木の幹にビニールを巻き付けるなどの対策を進めていた。

 原始林内では従来、若草山と隣接する周辺部では被害が確認されていたが、県が昨年10月、原始林内の外来種侵入状況などを調査した際、原始林奥部のカシなどの樹木4本に初めてナラ枯れ被害を確認した。

 県は昆虫が活動を始める春までに、同様にビニールを巻く対策を予定しているが、担当者は「今後さらに被害が拡大する恐れがあり、県だけでは限界がある」として今回、民間パトロールの団体設立を決めた。

 県によると、民間からの寄付金を運転資金とした原始林保全団体を早ければ今月中にも設立。企業やNPO、個人などから広く参加を呼びかける。参加者に定期的にパトロールをしてもらい、ナラ枯れ被害の早期発見のほか、外来種侵入状況や希少種の現状把握につなげるのが狙いだ。

 原始林は普段、立ち入りが禁止されているため、県は、参加すれば自然豊かな原始林の魅力も堪能できるとし、定年退職後のシニア世代などもターゲットに参加を呼びかけたい考えだ。

 県の担当者は「自立して活動する団体ができることで、原始林を保護する持続可能な仕組みができる」としている。

【用語解説】春日山原始林

 春日大社の神山として9世紀に「禁伐令」が出され、保護されてきた。800種以上の植物が繁茂し、昆虫や動物も数多く生息する。奈良市の中心市街地に隣接しながら、豊かな自然を保ち続けているとして、昭和30年、国の特別天然記念物に指定された。平成10年には「古都奈良の文化財」として世界遺産にも登録されている。

+-IT・科学-産経新聞

Posted by jun at 2014年01月14日 13:40 in 外来生物問題, 自然環境関連

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