2013年11月11日

<タンポポ>外来種の侵略を受けた”カンサイ” 受けなかった”トウカイ”

 西洋ではタンポポの葉をサラダにして食べるという。その外来種のセイヨウタンポポが日本に入ってきたのは、明治時代初期に札幌農学校(現、北海道大学)で食用の試験栽培をするため、米国から持ち込まれたのが最初だとか。以来、セイヨウタンポポは旺盛な繁殖力で日本在来のタンポポを追いやり、全国に広まった。しかし外来種と在来種の間で、何が起きていたのか。そのメカニズムを、名古屋大学博物館の西田佐知子准教授らの研究グループが明らかにした。

■外来種の侵略を受けなかったトウカイタンポポ

 研究グループは、日本在来のタンポポのうち、近畿地方でセイヨウタンポポの侵略を受けているカンサイタンポポと、追いやられずに、共存しながら頑張っている東海地方のトウカイタンポポに、それぞれセイヨウタンポポの花粉をつけて、受精の様子を調べた。

 受粉によって種子をつくる植物では、花のめしべ(柱頭)についた花粉が「花粉管」という長い管をめしべの柱(花柱)の中に伸ばし、先端にある精細胞(精子)が「胚珠」内の卵細胞と受精することで種子ができる。ところが実験の結果、セイヨウタンポポの花粉管は、カンサイタンポポでは胚珠まで到達するのに、トウカイタンポポでは途中で止まり、受精せずに終わってしまうことが分かった。

 トウカイタンポポは、セイヨウタンポポの花粉管を拒絶しつつ、後から来る同種のトウカイタンポポの受精は受け入れて種子を作った。それに対して、間違ってセイヨウタンポポを受け入れたカンサイタンポポは、いったんは種子を作り始めたが、途中で死んでしまった。これによりカンサイタンポポは子孫の数を減らし、セイヨウタンポポに追いやられる結果になったという。

■タンポポは自分のコピーを”クローン繁殖”できる

 セイヨウタンポポにしてみれば、トウカイタンポポに拒否され、カンサイタンポポも子孫を減らしていくので、自分たちの子孫繁栄の効率は低くなりそうなものだが、そうではない。セイヨウタンポポは他からの花粉によらずとも、自分で種子を大きくして(単為生殖によって)、数を増やしていけるのだ。また、まれにできた在来タンポポとの雑種も、このような自分で自分のコピーを増やす“クローン繁殖”をして増えるのだという。

■ダーウィン時代からの謎解明にもつながる発見

 今回の実験結果のようにセイヨウタンポポが、近縁であるカンサイタンポポの繁殖に悪影響を及ぼす現象は「繁殖干渉」と呼ばれる。繁殖干渉によって在来植物が外来種に置き換わるメカニズムが明らかになったことで、「近縁の生物が同じ場所にほとんど存在しない」という、ダーウィン時代から謎とされていた現象の解明にもつながりそうだ。

■研究によって在来の植物を守ることができる

 西田さんらは「日本在来の植物に外来植物の人工授粉実験を行って繁殖干渉の有無を調べれば、どの程度、追いやられるのか予測でき、外来種の花を取るだけで、在来種の駆逐を抑えることもできるかもしれない」と話している。

 セイヨウタンポポは、同じ外来種のアカミタンポポとともに「外来タンポポ種群」として環境省の「要注意外来生物リスト」(全148種類)にあげられている。これは「特定外来生物被害防止法」(外来生物法)の規制対象外だが、すでに日本に持ち込まれ、生態系に悪影響を及ぼす恐れがありながらも科学的な知見や情報が不足していることから、リストではさらに「引き続き情報の集積に努める外来生物」に分類されている。

(文責/企画NONO)

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Posted by jun at 2013年11月11日 16:55 in 外来生物問題

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