滋賀県はこのほど、琵琶湖沿岸部に点在する内湖の再生全体ビジョンの素案をまとめた。琵琶湖の在来魚やヨシを育み、水質保全を担ってきた内湖の役割を再評価し、その機能をよみがえらせることで在来魚を増やすなど、生態系の再生を目指すとしている。
素案は「本来の機能を再生し、琵琶湖や人とのつながりをつくる」を基本理念に掲げる。その上で琵琶湖の魚類が産卵で上流の水田へさかのぼるための通り道を整備したり、ヨシ帯の復活や湖底の泥の除去など、具体的な取り組み例を示している。
また、再生活動を持続していく担い手として、行政や研究者だけでなく、地域住民がヨシ刈りや環境学習を通じて内湖に関わっていく方向性も記した。
同ビジョンは内湖に特化した初の指針で、県は今年1月に学識者らでつくる検討委員会を設置し、議論を重ねてきた。本年度末までに策定する。県琵琶湖政策課は「ビジョンで示される機能回復をそれぞれの内湖で実現したい」としている。
県には、かつて干拓された早崎内湖(長浜市)で再生事業を進め、琵琶湖とつないで水を引き、フナ類の数を増加させた実績もある。
県によると、琵琶湖の沿岸部には昭和初期まで約40カ所の内湖が存在し、地元住民が湖底の泥を肥料とするなど生態系や暮らしと密接に関わってきた。だが、その後の干拓で総面積の約85%が消失した。現在は、湖岸道路の建設で生まれた新規内湖も含め、西の湖(近江八幡市)など33カ所、計約535ヘクタールの内湖がある。