2012年09月18日

<セアカゴケグモ>生息域拡大 21府県で確認

 かつては日本にいなかった特定外来生物の毒グモ「セアカゴケグモ」の生息域が広がっている。大阪府高石市で1995年に初めて見つかった後、18府県で確認(国立環境研究所調べ)。専門家の調べでは21府県と更に拡大し、「国内に定着した」とみている。12日には佐賀県吉野ケ里町で県内2例目が確認された。かまれる被害も相次ぎ、福岡市では3日に高齢女性が呼吸障害などに陥った。海外では死亡例もあり、専門家は警戒を呼び掛けている。

【86歳女性が被害】福岡で女性かまれる 期限切れ血清投与で快方に

 福岡市東区のアイランドシティ(人工島)にある介護老人福祉施設。3日午前、1階の居室で靴を履こうとした80代女性入所者の右足指に激痛が走った。靴の中には背中に赤い模様が入った黒いクモ。入所者は全身の痛みや呼吸障害などを訴え、入院した。市は期限切れの血清しか備蓄していなかったが、投与したところ快方に向かったという。

 福岡市によると、クモは市内では07年10敷地内を調べると約30匹が見つかり、施設側が殺虫剤で駆除。更に市が付近の公園2カ所を3、4日に調べると新たに約50匹が見つかった。

 侵入生物に詳しい元大阪府立公衆衛生研究所主任研究員で民間研究団体「いきもの研究社」代表の吉田政弘さん(69)は、船の積み荷などに紛れて国内の複数の港に入った後、運搬車両や資材に付着して各地に拡散し、繁殖しているとみる。

 攻撃性は強くないため、かまれることは少ないが、近年は年間10件程度の被害が全国で発生。かまれると痛みや発汗などの症状が表れ、子供や高齢者は重症化の恐れもある。現在は血清があるが、なかった時代は原産地・オーストラリアで死者も出ているという。

 環境省外来生物対策室によると、05年に施行の外来生物法に基づき、国はアライグマなど主に生態系に被害を与える種の駆除を優先している。セアカゴケグモについては「身近な生活環境を守る観点から、自治体が計画的に駆除を進めてほしい」との立場だ。

 しかし、セアカゴケグモを確認した自治体の担当者らは「拡散を食い止めるのは難しい」とお手上げ状態。長期的な駆除計画をつくる自治体は少なく、発見されるたびに場当たり的な駆除を繰り返していることが拡散の原因とみられる。被害者が出た福岡市も7日、港湾局など関係部署が集まって会議を開いたが、「情報を共有して各職場でできる取り組みを検討したい」と、具体的な対策には踏み込まなかった。環境団体などは「自治体として生活環境を守る駆除計画を策定すべきだ」と指摘する。

 吉田さんは今後の対策として「住民参加型で地域の生息マップを作成するなど関心を高め、長期的なスケジュールで公園や側溝などを清掃した方がいい。早く駆除態勢を整備しないと生息域は更に広がるだろう」と警告する。【木下武、関東晋慈】

 ◇セアカゴケグモの生息が確認された21府県

宮城▽群馬▽岐阜▽愛知▽三重▽滋賀▽京都▽奈良▽和歌山▽大阪▽兵庫▽岡山▽香川▽徳島▽高知▽福岡▽佐賀▽宮崎▽鹿児島▽山口▽沖縄(民間研究団体「いきもの研究社」調べ)

 ◇セアカゴケグモ

 オーストラリア原産のクモで、毒性が強く危険な雌は体長約0.7〜1センチ。全身が光沢のある黒色をしており、背面に赤い帯状の模様がある。寿命は約1年。1〜3カ月で成熟するとみられ、夏場に産卵し、卵が詰まった卵のうを作る。地表面から1メートル以内の暗くて狭い場所を好み、側溝のふたやベンチの裏などに生息している。かまれたらその部分をせっけん水などで洗い、できるだけ早く病院に行くことが肝要だ。

+Yahoo!ニュース-社会-毎日新聞

Posted by jun at 2012年09月18日 16:12 in 外来生物問題

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