09年の大渇水の影響で激減した薩摩川内市祁答院町の藺牟田池周辺のベッコウトンボが復活の兆しを見せている。今シーズンでの調査では、1日当たりの最大確認数は26匹で、昨年、一昨年を上回った。関係者らは復活へ向けて期待している。【宝満志郎】
国内希少野生動植物種のベッコウトンボは体長約3〜4センチで、羽化後に体色がベッコウ色になることが名の由来とされる。4〜6月ごろ、藺牟田池周辺で飛び回る成虫を観察することができる。
しかし、09年の大渇水で周囲約4キロの藺牟田池は、中央を残して干上がった。このため、幼虫のヤゴが大量死したとみられる。環境省のデータでは、1日当たりの最大確認数は、09年は224匹だったが、渇水後の10年12匹、11年8匹。また、観察期間中の延べ確認数も09年は2453匹だったが、10年は80匹を切り、11年は66匹となった。
今年は、4月8日に初見され、終認日は6月7日。4月18日に、今シーズン最高の26匹が確認され、延べ確認数も295匹。
5月12日に、恒例の観察会が藺牟田池周辺で開かれたが、この日も17匹を確認し、参加者を喜ばせた。また、渇水期にトンボの“避難用”にと、市が池のそばに約840万円をかけ整備を進めていたビオトープ(約1000平方メートル)も、昨年5月に完成した。まだ、ベッコウトンボの産卵、羽化は確認されていないが、周辺を飛ぶ姿はあり、今後期待されるという。
「藺牟田池のベッコウトンボを保護する会」の世話人で、環境省から個体調査を委託されている山元正孝さん(73)は「池の水位も生育環境に合うほど回復している」と話す。また、同会相談役で、長年研究している成見和総・鹿児島純心女子大学非常勤講師(71)は「復活傾向で最悪の事態は乗り越えたのではないか」と、ほっとした様子。
しかし、まだ、食害が指摘されているブラックバスやブルーギルの駆除など課題はある。成見さんは「渇水や外来魚から守られるビオトープで産卵・羽化があれば。ビオトープ周辺で雄の縄張り活動はあり、あそこに定着したら一安心」と来年以降を期待している。
………………………………………………………………………………………………………
◇ベッコウトンボ
本州、四国、九州の池や沼周辺に分布していたが、今は限られた地域に生息する。絶滅が心配されることから環境省のレッドデータブックの絶滅危惧1類に指定。また、藺牟田池も05年にラムサール条約の登録湿地となった。7月22日朝刊