果樹園への農業被害や家屋への侵入被害などが全国的に問題になっている外来哺乳動物「ハクビシン」(ジャコウネコ科)が、和歌山県南部で初めて捕獲された。成獣の雌で妊娠しており、自然繁殖していることが分かった。専門家は「アライグマより侵入を防ぐのは難しく、早期発見して捕獲するしかない」と警戒している。
ハクビシンが捕獲されたのは白浜町十九渕。動物が田んぼの苗を踏み荒らしていたため、4月下旬から有害獣捕獲として箱わなを設置。今月12日にハクビシンが掛かったと同町に連絡があった。夜間、カエルやその卵を食べていたとみられる。まだ、複数生息しているという。
アライグマなどの生態を調べている、田辺市ふるさと自然公園センターの鈴木和男さんの調べでは、捕獲されたハクビシンは全長約90センチ、尾の長さは約40センチ、重さ2・2キロ。新型肺炎(SARS)が流行した時に宿主として疑われたこともある動物で、病原菌の有無やDNAなども専門機関で調べる予定。
農林水産省が2008年に発行した「野生鳥獣被害防止マニュアル―ハクビシン」によると、昭和20年代初頭に四国、静岡県、山梨県、福島県にまばらに分布していたが、徐々に生息域を広げ、現在では南東北から中部、四国で分布が集中している。
環境省のデータ(有害獣捕獲と狩猟含む)によると、有害獣として毎年200匹前後が捕獲され、狩猟獣に指定された1994年以降は千匹前後の捕獲で推移していたが、2003年度ごろから急増。05年度に2千匹を超え、08年度には5764匹になった。09年度は7532匹で、最も多かった千葉県は1347匹を捕獲している。和歌山県では近年、わずかだが県北部で捕獲例がある。
鈴木さんによると、ハクビシンは樹上生活に適応し、雨どいを上ったり、電線を伝ったりすることができる。家屋の天井裏や床下などにもすみ着き、ふん被害をもたらす。雑食性で野菜や小動物、昆虫などなんでも食べるが、中でも果実が好物。県南部では主要農作物のかんきつ類をはじめ、柿やブドウなどが狙われる可能性がある。
ハクビシン 東南アジア大陸部から中国南部、スマトラ、台湾などに分布する。日本では分布が不自然で、江戸、明治期に確実な生息記録がないことから外来種とみられている。ただ、外来生物法では「移入時期がはっきりしない」として特定外来生物に指定されていない。
Posted by jun at 2012年05月24日 19:36 in 外来生物問題