◇評価に痛手「ルール作りを」
大崎市古川の農業用ダム湖沼の化女(けじょ)沼(約30ヘクタール)をねぐらとして越冬するガン類「ヒシクイ」の数が減少していることが、同市三本木の池内俊雄さん(51)らガン類研究者の調査で分かった。ヒシクイの多数越冬が化女沼のラムサール条約登録の決め手になっただけに、その減少は沼の評価にとって痛手。池内さんは、「ねぐらをおびやかす人為的かく乱が要因」と問題提起している。
化女沼のヒシクイは98年度6617羽、02年度6792羽を記録した。ロシア・カムチャツカから日本に渡るヒシクイのほぼすべてが沼で越冬。環境省は県、大崎市と連携し、「希少な渡り鳥に選ばれた地」として08年10月、ラムサール条約締約国会議で沼を条約湿地に登録した。
ところが09年度2603羽、10年度2409と漸減傾向が続き、11年度は2374羽となった。これに対し同沼から東に28キロにある平筒(びょうどう)沼(登米市)は11年度、3234羽が確認され、登録湿地でない平筒沼の方の越冬数が多い状況になった。
池内さんは、「化女沼では越冬前期(11、12月)にブラックバス釣りでボートを浮かべたり、胴長着用で水に入るのが目立つ。人の動きに敏感なヒシクイがそれを嫌い、化女沼を敬遠する傾向が数年の間に強まった」と指摘する。平筒沼は化女沼より釣り規制が厳しいとされる。
池内さんは、釣り人に化女沼の状況を説明し、越冬を妨害しない釣りのルール作りを、国などに提唱したい、としている。
ヒシクイはマガン属ヒシクイ種の4亜種の一つで、分類学的には「亜種ヒシクイ」と呼ばれる。乾いた田んぼや草地でイネ科植物の葉部分をえさにする。日本に渡るのは他にオオヒシクイがある。【小原博人】4月7日朝刊