2011年08月11日

クニマス泳ぐ田沢湖に 漫画家・矢口さん、生態調査訴え

 かつて田沢湖(仙北市)の固有種とされ、絶滅したと考えられていた淡水魚クニマスの「里帰り」を求める声が地元で高まっている。山梨県の西湖で昨年末、約70年ぶりに生息が確認されたためだ。「これを機に、湖の環境保全に本腰を入れるべきだ」と訴える漫画家矢口高雄さん(71)=横手市出身=に、話を聞いた。(横手支局・喜田浩一)

 「市民の熱い思いを感じた」。7月下旬、仙北市が開いたクニマス発見記念フォーラムにパネリストとして参加した矢口さん。会場から続出した「クニマス待望論」に聞き入った。
 田沢湖には1940年、農業用水の確保や水力発電を目的として強酸性の河川水が引き込まれ、クニマスを含む魚類がほぼ死滅した。「国策という名の下、日本は愚かなことをした」と振り返る。
 「釣りキチ三平」で名高い矢口さんが、クニマス再生を予言する物語を発表したのは2001年。あらゆる文献を集めたが、卵を運んだ記録が残る西湖で生息しているとは夢にも思わなかった。「まさに漫画みたいな話。日本に明るい話題をもたらした」
 クニマスの生態については、餌や、産卵に必要な環境など分からないことだらけだ。「西湖での生息数などを徹底的に調べることが第一。その上で田沢湖をどうすべきかが見えてくるはず」と期待する。
 田沢湖周辺では91年、酸性水の中和処理施設が稼働したが、湖水の水素イオン濃度(pH)は十分に回復していない。「いわゆる毒水を70年間流し込んできたのだから、もっと時間をかけて努力しないと」と長期的な取り組みを望む。
 思いを強めた背景には福島第1原発事故の問題がある。田沢湖の水とは比較にならないほどの悪影響をもたらす核廃棄物を抱え込んだ日本が岐路に立たされている。
 「人類は数百万年の周期で現れる間氷期に生まれた一時的な存在」。矢口さんはそう考えている。「ヒトが滅びた後の新たな生物に対しても、われわれは責任を負わなければならない」
 地球環境を後世に引き継ぐため、覚悟のほどが問われているという。

<やぐち・たかお>1939年秋田県西成瀬村(現横手市)生まれ。銀行勤めを経て漫画家デビュー。73年「釣りキチ三平」連載を開始。2003年から4年間、石ノ森萬画館(石巻市)の館長を務め、現在、震災復興の支援活動に取り組んでいる。東京都在住。

+Yahoo!ニュース-秋田-河北新報

Posted by jun at 2011年08月11日 16:49 in 魚&水棲生物, 自然環境関連

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