カワウの異常繁殖による被害が深刻化していた琵琶湖の竹生島の植生に変化の兆しが現れている。県によると、5月時点の生息数は08年のピーク時に比べ97%減少。裸地化した斜面にも緑が戻りつつある。集中的な捕獲対策が奏功しているとみられ、研究者らは「竹生島が復活する転機になれば」と期待している。【安部拓輝】
県などが6月に現地調査し、営巣地で立ち枯れていた広葉樹の幹から新芽が伸びているのを確認した。裸地化した山肌には草や低木も生えていた。
竹生島周辺には餌となるアユが豊富なため、全国からカワウが集まり、96年ごろから樹木の枝が折られたりフンにまみれて枯れる被害が目立ち始めた。土壌の流出を防ごうと県は一時植林も施したが焼け石に水の状態。08年5月の調査では3万羽近くに上り、枯れかけの樹木は7割に上った。
◇捕獲対策奏功?
県は09年から繁殖前の親鳥を含めて集中的な捕獲を開始。10年には約1万4000羽まで減り、今年5月の調査では1015羽しか確認できなかった。7月には島から2・5キロほど離れた葛籠尾崎(つづらおざき)から数千羽が移動してきたが、県自然環境保全課は「春の繁殖数が減り、営巣による負荷が少なかったので植物が回復する余裕ができた」と話しており、8月から本格的な植生調査に入った。
竹生島の生態系を研究している県立琵琶湖博物館の亀田佳代子専門学芸員は「自然の回復の早さに驚いている。どの程度の密度なら鳥と植物が共存できるのかを確かめる契機にしたい」と話している。8月18日朝刊