◇冬季のダム放流原因か、観光関係者「対策を講じて」
琵琶湖国定公園の一角にあたる宇治市の宇治川で昨年10月以降、帯状に流れる黄褐色の泡が目立ち始め、川岸に滞留するなどして、流域の景観を損ねている。泡は水生植物や落ち葉など自然由来の物質がかき混ぜられ、天ケ瀬ダムの放流で物理的な力が加えられて発生していると見られる。春の行楽シーズンを前に、観光関係者は「対策を講じてほしい」と要望している。【山田尚弘】
同事務所によると、通常はダム本体を通さず、ダム湖の手前からダム下の発電所を結ぶ導水路を通じて放流されている。琵琶湖周辺の山々の雪解け水で流量が増えることに伴い、例年は2、3月に年間50日程度、ダム本体からの放流を実施。泡の発生は数年前から確認されており、07年に国土交通省の淀川河川事務所(大阪府枚方市)と宇治市、市観光協会、学識者などが対策研究会を発足させた。
08年12月に同研究会が公表した水質調査結果で、泡の成分は自然由来の物質と判明。同事務所は「水質に悪影響を及ぼすことはない」と結論付けた。泡の発生は水温や流量によってばらつきがある。
昨年10月から実施しているダム本体の放流はダム下にある天ケ瀬発電所の定期点検に伴うもので、現在は雪解け水による流量の増加で3月末までをめどに放流を継続している。市観光協会には2月に入って、「洗剤を流しているのか」「魚への影響は」などの問い合わせが数件相次いだ。同協会の多田重光専務理事は「風光明媚(めいび)な宇治のイメージが崩れかねない。春の本格的な観光シーズンの前に消えてくれれば良いが」と心配する。
天ケ瀬ダムが環境に与える影響を調査している市民団体「宇治・防災を考える市民の会」代表の志岐常正・京都大名誉教授(環境地質学)は「(泡の原因とされる)水生植物が繁茂する背景に生態系の変化があるのではないか。水質に問題がないとの一点ばりで放置しておいていいのか」と疑問を投げ掛ける。
同事務所の橋本豊治副所長は「ダム自体の構造から、泡を消すことは難しい。しかし、観光関係者からの苦情もあり、対応策を検討したい」と話している。同研究会によると、同様に河川に大量の泡が発生した例は、00年に長野、静岡県内を流れる天竜川で、アオコの異常発生によるとみられる白い泡の報告がある。3月20日朝刊