環境省は、ミヤコタナゴ(国指定天然記念物)の生息地保護区に指定されている大田原市羽田地区の農業用水路に、ミヤコタナゴを再導入(放流)する方針を固めた。羽田地区は国内で唯一の保護区だが、平成14年以降は生息が確認されていない。生息地の復元を目指し、今春に地元住民らで組織する協議会を立ち上げ、再導入の手法や保全管理体制など具体的な検討に入る。(伊沢利幸)
再導入されるのは、県水産試験場で系統保存している羽田地区産のミヤコタナゴ。試験場で飼育している8千匹のミヤコタナゴのうち、2千匹以上は羽田地区の水路で採捕したミヤコタナゴを親にもつという。
計画によると、再導入は実施計画(ロードマップ)を作成して進められる。3〜5年後を目安に再導入する予定で、実施主体となる協議会は環境省と県、市、地元住民らで組織。試験放流や水路への再導入の手法▽密猟防止などの保安対策▽再導入後の保全管理体制−などを検討する。
環境省の再導入方針を受けて、羽田地区の農業用水路でこのほど、ミヤコタナゴの生息環境の維持・改善のため、泥を除去する作業が行われた。現地を訪れた環境省の木内尚也広域鳥獣保護管理専門官は「これまで地元と共に水質の改善に取り組み、ミヤコタナゴの生息環境も向上している。再導入で生息地を維持していきたい」と話した。
環境省は平成6年、ミヤコタナゴの国内最大の生息地とされた羽田地区の農業用水路(約750メートル)と西側の羽田沼を含む約60ヘクタールを保護区に指定。県や市、地元住民らでつくる「ミヤコタナゴ保存会」などと保全活動に取り組んできた。
指定当時は数千匹が生息していたが、7年の調査で184匹に激減。8年には100匹を割り込み、11年に23匹まで減少した。14年以降は確認されていない。ブラックバスやブルーギルなど外来種の増加や水質の悪化などが原因とみられる。
特に水質については、用水路に流れ込む羽田沼の水質悪化が指摘され、ハクチョウなどへの給餌制限などが行われているが、生息の確認には至らず、県水産試験場で系統保存している羽田地区産のミヤコタナゴの再導入が検討されてきた。
【用語解説】ミヤコタナゴ
コイ科タナゴ亜科に属する日本固有の淡水魚。昭和49年に国の天然記念物に指定された。かつては関東地方の小川などで広く生息していたが、都市化に伴う生息環境の変化で激減。環境省のレッドリストで絶滅危惧1Aに指定されている。
Posted by jun at 2011年03月10日 18:39 in 外来生物問題, 魚&水棲生物