全国約6万羽の半数が琵琶湖一帯に生息するとされるカワウの漁業被害などに悩む滋賀県が、冬場の営巣地である愛知県に駆除を要請したところ、拒否されていたことがわかった。愛知県では漁業被害が少ないことや、かつて収入源としたカワウを大切にする地元感情が理由という。滋賀県は関西広域連合構想に参加する一方、中部圏知事会にも近畿で唯一参加。中部で広域連合が結成されれば「参加する」と公言するなど、愛知県との連携を強化しているが、カワウ問題では袖にされた格好だ。
琵琶湖では、アユなど毎年約2800トンの魚がカワウに食べられているほか、周辺の森林ではフン害などで約24万平方メートルの樹木に被害が出ている。このため滋賀県は、平成16年から本格的な猟銃による駆除を開始し、毎年夏場に約2万羽を駆除。しかし、個体数はなかなか減らず、ここ数年は2〜3万羽程度で推移している。
原因は、琵琶湖のカワウのほとんどが冬は愛知県の知多半島で営巣し、滋賀県で数を減らしても繁殖していることにある。このため、滋賀県は抜本的な対策を目指し、愛知県に駆除を要請、協力に期待した。
ところが、愛知県は「滋賀県のような深刻な漁業被害が出ておらず、現状では予定はない」と拒否。滋賀県は協力を引き続き求めているが、前向きな回答は今のところない。
愛知県の漁業被害が少ないのは、滋賀県と異なり営巣が海岸沿いで、海水魚を主食としているためとされる。閉ざされた湖と違い、海流の動きで魚群が大きく移動し、自治体が駆除するほどの被害はないという。
さらに、知多半島の愛知県美浜町ではかつて、カワウのフンを肥料にして高額で販売。収入源として一時は禁漁区を設けて保護し、「金を運ぶ鳥」とまで言われた。町内の繁殖地「鵜の山」が国の天然記念物に指定されるなど、町のシンボルとなっており、地元感情は「駆除」に抵抗が強い。
愛知県自然環境課は「滋賀県の気持ちはわかるが、愛知では漁業被害はそれほど深刻ではない。地元感情もあり、駆除までは考えられない」と説明する。
滋賀県は、特に愛知県企業の工場などがある北部が経済面での結びつきが強く、行政も近畿と同様に連携を深めている。滋賀県自然環境保全課は「現状では琵琶湖の自然を守れない。愛知県の協力は欠かせないのだが…」と頭を抱えている。
Posted by jun at 2010年11月09日 16:03 in 魚&水棲生物, 自然環境関連, 内水面行政関連