◇根絶の見通したたず
生態系に悪影響を及ぼすとして外来生物法で「特定外来生物」に指定されているマングースが、奄美大島だけでなく県本土でも生息していることが発覚して、今月22日で1年となる。これまでに鹿児島市喜入地区で計94匹が捕獲された。県は今年度中にワナを現在の4倍に増やす方針だが、根絶の見通しはたっていない。【福岡静哉】
3日、鹿児島市喜入中名町。県から委託を受けた県環境技術協会の職員が、畑の一角に設置したワナに、マングースのメスがかかっているのを見つけた。県が捕獲をスタートした09年7月以降、94匹目。
県は09年6月、鹿児島市喜入地区でのマングースの目撃情報が、06年10月〜09年4月に計11回あったと発表。当初3基だったワナを徐々に増やし、現在、南北約20キロ、東西約5キロの範囲内に22カ所、計88基を設置している。幼い個体が複数見つかっており、繁殖は確実という。
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「奄美大島の例と比べても、捕獲効率は非常にいい」。県に助言を続けている鹿児島国際大の舩越公威教授(哺乳(ほにゅう)類学)は、こう指摘する。
奄美はマングース駆除の“本場”だ。79年にハブ退治のため導入されたが効果が上がらず、アマミノクロウサギなど希少生物に被害を与えるため、環境省などが00年から駆除を開始。これまでに2万匹余りを捕獲した。捕獲数は年々減少し、同省は「残り2000匹弱」と推測する。
奄美では2番目に多かった01年度、3375匹を捕獲。ワナ10基を100日設置した場合の捕獲数を示す「捕獲効率」は「20・4」だった。これに対し喜入地区は「13・3」と奄美の約7割に上る。それだけ喜入地区の生息密度が高いとも言えそうだが、県自然保護課は「喜入では奄美に比べ地点を絞ってワナを仕掛けているため、単純比較はできない。喜入の分布範囲、生息数などは不明」と言う。
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奄美の例では、マングースの生息域が拡大していくスピードが年間約1キロとの報告もある。喜入地区では20〜30年前に捕獲されたマングースのはく製も確認されており、指宿市、南九州市など周辺に拡大している可能性もある。しかし県が約500世帯を対象に実施した聞き取り調査などで、喜入以外で目撃情報は無かった。
県は、詳細なデータをさらに収集するため今年度、ワナを約100カ所、最大で400基ほどに増やす方針。目撃情報があれば喜入以外でもワナ設置を検討する。舩越教授は「今後もこれまでと同様にハイペースで捕獲が進めば、かなりの数が生息していると推測できる。喜入以外のデータも収集していく必要がある」と指摘する。6月6日朝刊